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故郷へ
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それからも、皆はアンドリューに旅の様子を話して聞かせた。
アンドリューは、目を白黒させながら、皆の話に聞き入った。
「父上…もう一つ、証拠をお見せしましょう。」
「フレイザー…」
ダルシャの合図に、フレイザーは鉛の箱を開け、アンドリューの前に差し出した。
「これが願い石です。」
「な、なんだと、これが…!?」
箱の中に並んだ色とりどりの願い石に、アンドリューは戸惑いながらも、視線はその石に釘付けだった。
「これらは、皆、双子石ですけどね。
父上、この石をテーブルの角に思いっきりぶつけてみて下さい。」
「そ、そんなことをしたら、石が……」
「大丈夫です。
ほら!」
「あっっ!!」
ダルシャは、願い石を思いっきりテーブルに叩き付けた。
アンドリューは、顔色を変えるほど心配したが、願い石には何の変化もなかった。
もちろん、割れることなどない。
「本当に…これは願い石なのだな。」
アンドリューは、恐る恐る石を手に取り、それをしげしげとみつめた。
「こんなものが本当にこの世にあったとは……」
アンドリューは、現実を目の前につきつけられてもなお、まだどこか信じられないように
石をじっとみつめていた。
その後も、皆の長い旅の話は続き、いつの間にか、夜が白々と明け始めており、ダルシャもすっかり元の人間の姿に戻っていた。
「あぁ、もうこんな時間か…」
「皆、ありがとう。
まだ、すべてが消化出来たわけではないが、だいたいのことはわかった。
確かにこの世の中には、信じられないような不思議なことがたくさんある。
ダルシャの変身については、もう疑いようもない事実だ。」
「父上、ありがとうございます。」
「礼を言うのなら、皆さんにだろう。
こんなに長い間、おまえのために旅の話をして下さったんだ。
皆さん、お疲れになったでしょう。しばらく横になって下さい。」
アンドリューのその言葉で、皆、席を立ち始めた。
「……ダルシャ……」
「はい、父上。」
「ナジュカはちゃんと山に帰しておくようにな。」
「は、はい。わかりました。」
それからも、皆はアンドリューに旅の様子を話して聞かせた。
アンドリューは、目を白黒させながら、皆の話に聞き入った。
「父上…もう一つ、証拠をお見せしましょう。」
「フレイザー…」
ダルシャの合図に、フレイザーは鉛の箱を開け、アンドリューの前に差し出した。
「これが願い石です。」
「な、なんだと、これが…!?」
箱の中に並んだ色とりどりの願い石に、アンドリューは戸惑いながらも、視線はその石に釘付けだった。
「これらは、皆、双子石ですけどね。
父上、この石をテーブルの角に思いっきりぶつけてみて下さい。」
「そ、そんなことをしたら、石が……」
「大丈夫です。
ほら!」
「あっっ!!」
ダルシャは、願い石を思いっきりテーブルに叩き付けた。
アンドリューは、顔色を変えるほど心配したが、願い石には何の変化もなかった。
もちろん、割れることなどない。
「本当に…これは願い石なのだな。」
アンドリューは、恐る恐る石を手に取り、それをしげしげとみつめた。
「こんなものが本当にこの世にあったとは……」
アンドリューは、現実を目の前につきつけられてもなお、まだどこか信じられないように
石をじっとみつめていた。
その後も、皆の長い旅の話は続き、いつの間にか、夜が白々と明け始めており、ダルシャもすっかり元の人間の姿に戻っていた。
「あぁ、もうこんな時間か…」
「皆、ありがとう。
まだ、すべてが消化出来たわけではないが、だいたいのことはわかった。
確かにこの世の中には、信じられないような不思議なことがたくさんある。
ダルシャの変身については、もう疑いようもない事実だ。」
「父上、ありがとうございます。」
「礼を言うのなら、皆さんにだろう。
こんなに長い間、おまえのために旅の話をして下さったんだ。
皆さん、お疲れになったでしょう。しばらく横になって下さい。」
アンドリューのその言葉で、皆、席を立ち始めた。
「……ダルシャ……」
「はい、父上。」
「ナジュカはちゃんと山に帰しておくようにな。」
「は、はい。わかりました。」
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