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故郷へ
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「さ、おしゃべりはそのくらいにして、片付けてしまおう!」
(いつも口だけは達者なんだよな。)
(きっとやる気はあるんだな。ただ要領がつかめないだけで…)
(仕方ないさ。貴族の息子がふつう片付けなんてしないからな。)
「こら、そこの二人…しゃべってないで手を動かせ。」
「はーい!」
大きな声で返事をしたフレイザーに、ジャネットは顔を見合わせて微笑んだ。
「……おぉ、そうだ。」
ダルシャは、そう呟くと胸ポケットに手を入れた。
「また忘れるところだった。」
そう言いながら、ダルシャは二人の前に手の平を差し出した。
「……ペンダント…?」
「あれ…これって……」
二人は、ダルシャの手の平に乗せられた二つのペンダントをじっとみつめた。
「ジャネット、これが何を象ったものかわかるか?」
「……なんだかバグゥアの実に似てる気がする……」
「その通りだ。
ほら、これをこうすると……」
ダルシャは、二つのペンダントトップをぴったりと合わせた。
「あ…そんな所までバグゥアと同じなのか?」
「ジャネット…何なんだ、バグゥアって…」
フレイザーの質問に、ダルシャとジャネットは顔を見合わせて微笑んだ。
「面白いものだろう?
はずす時にはこれをこうすると簡単にはずれる。
君達にプレゼントしようと思って、ずっと忘れてたんだ。」
「良いのか?あ、ありがとう!ダルシャ!」
ジャネットは、二つのペンダントを受け取り、嬉しそうに顔を綻ばせた。
「さて…それでは片付けを始めようか。」
*
一行は、数日間を獣人の村で過ごした。
ジュリアスが暮らすことになった空家の修繕を手伝ったり、獣人達と外の暮らしについて話したり……
大きくなったとはいえ、まだ子供のカークと山の中を散策したり……
楽しい時はあっという間に流れた。
「アルディ、世話になったな。」
「もっとゆっくりしていけば良いのに……
引き止めたいところだが、セリナのことを考えればそうも言えないな。」
「……そういうことだ。
アルディ…ジュリアスのことをよろしく頼む。」
「心配はいらないさ。
あいつは、もう友達も出来たみたいだし、これからもうまくやっていくさ。」
村のあちらこちらで、別れを惜しむ獣人と人間のいとまごいが交わされていた。
「また必ず来るから。」
カークは小さな子供のようにセリナに抱き付いて離れない。
外ではまだまだ高い人間と獣人の垣根が彼らの間には微塵もなかった。
「じゃあな、ジュリアス…
また会いに来るからな。」
「俺のことは心配するな。
それよりも、フレイザーと仲良くするんだぞ。」
「わ、わかってるよ。」
「では…行こうか。」
ダルシャの声に従い、皆、無理に気持ちを切り替え、大きく手を振りながら村を離れた。
「元気でな~!」
「また来いよ~!」
「お姉ちゃーん!」
カークのはりあげた大きな声は、だんだん涙声に変わり、それは皆の姿が見えなくなるまで続いた。
(いつも口だけは達者なんだよな。)
(きっとやる気はあるんだな。ただ要領がつかめないだけで…)
(仕方ないさ。貴族の息子がふつう片付けなんてしないからな。)
「こら、そこの二人…しゃべってないで手を動かせ。」
「はーい!」
大きな声で返事をしたフレイザーに、ジャネットは顔を見合わせて微笑んだ。
「……おぉ、そうだ。」
ダルシャは、そう呟くと胸ポケットに手を入れた。
「また忘れるところだった。」
そう言いながら、ダルシャは二人の前に手の平を差し出した。
「……ペンダント…?」
「あれ…これって……」
二人は、ダルシャの手の平に乗せられた二つのペンダントをじっとみつめた。
「ジャネット、これが何を象ったものかわかるか?」
「……なんだかバグゥアの実に似てる気がする……」
「その通りだ。
ほら、これをこうすると……」
ダルシャは、二つのペンダントトップをぴったりと合わせた。
「あ…そんな所までバグゥアと同じなのか?」
「ジャネット…何なんだ、バグゥアって…」
フレイザーの質問に、ダルシャとジャネットは顔を見合わせて微笑んだ。
「面白いものだろう?
はずす時にはこれをこうすると簡単にはずれる。
君達にプレゼントしようと思って、ずっと忘れてたんだ。」
「良いのか?あ、ありがとう!ダルシャ!」
ジャネットは、二つのペンダントを受け取り、嬉しそうに顔を綻ばせた。
「さて…それでは片付けを始めようか。」
*
一行は、数日間を獣人の村で過ごした。
ジュリアスが暮らすことになった空家の修繕を手伝ったり、獣人達と外の暮らしについて話したり……
大きくなったとはいえ、まだ子供のカークと山の中を散策したり……
楽しい時はあっという間に流れた。
「アルディ、世話になったな。」
「もっとゆっくりしていけば良いのに……
引き止めたいところだが、セリナのことを考えればそうも言えないな。」
「……そういうことだ。
アルディ…ジュリアスのことをよろしく頼む。」
「心配はいらないさ。
あいつは、もう友達も出来たみたいだし、これからもうまくやっていくさ。」
村のあちらこちらで、別れを惜しむ獣人と人間のいとまごいが交わされていた。
「また必ず来るから。」
カークは小さな子供のようにセリナに抱き付いて離れない。
外ではまだまだ高い人間と獣人の垣根が彼らの間には微塵もなかった。
「じゃあな、ジュリアス…
また会いに来るからな。」
「俺のことは心配するな。
それよりも、フレイザーと仲良くするんだぞ。」
「わ、わかってるよ。」
「では…行こうか。」
ダルシャの声に従い、皆、無理に気持ちを切り替え、大きく手を振りながら村を離れた。
「元気でな~!」
「また来いよ~!」
「お姉ちゃーん!」
カークのはりあげた大きな声は、だんだん涙声に変わり、それは皆の姿が見えなくなるまで続いた。
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