633 / 802
伝言
48
しおりを挟む
「でも、あんたらがここについてから、奴らも…」
「そうなんだ。
運良く、おかしな奴らが探してたって教えてくれた人がいたから、僕らは逃げおおせることが出来た。
だけど、それからは旅行気分もどこへやらだ。
奴らにみつからないようにレティシアの知り合いを必死に探した。
だが、知り合いはなかなかみつからないし、追い詰められて、本当にもうおしまいかってことも何度かあったんだ。
そのうちに、レティシアは僕に町に帰るように言い出した。
奴らが探してるのは私だけだからって言って…
だけど、そんなこと…聞けるはずがない!」
急に感情的な声を上げたオズワルドに、皆、驚いたような視線を向けた。
「……彼女を愛してしまったんだな…?」
ダルシャの問いにオズワルドは、俯いたまま小さく頷く。
「おそらく…会った瞬間から、僕は彼女にひかれてた。
一目惚れなんて、こんな年になってからするとは思わなかったよ。
そして、一緒に旅をしているうちに、僕はますます彼女のことが好きになってしまったんだ。」
「だが、護り人である君は……」
「そうだよ。
僕にはそんな気持ちを打ち明けることなんて出来ない。
だから……僕はいずれ、彼女に命を託す役目を果たそうと思ってた……」
オズワルドのその言葉に、セリナは苦しそうに顔を歪めた。
「そうだったのか…
それで、彼女とはいつどんな風に別れたんだ?」
「僕らはレティシアの知り合いの知り合いが貸してくれた家に隠れていたんだけど、ある日、そこを奴らの一人にみつかった。
その時は、僕と知人がいたから、なんとか返り討ちに出来たものの、僕と知人は怪我をした。
特に、知人の怪我は酷いもので、レティシアはそのことをとても悔やんでいた。
それから数日後、レティシアは突然姿を消した。
ちょうどその頃、今度は二人組が近くに現れ、僕は知人の仲間達に協力してもらって、奴らを葬った。
島についてきたのは三人だから、もう危険はないはずだ。
なのに、レティシアは姿を消したまま、相変わらず出てこない。」
「今、君は、出てこないといったが、彼女はすでにこの島を離れたということはないのか?」
オズワルドは、小さく手を振った。
否定の意味での動作だ。
「それはない。定期船に彼女が乗れば、知人の仲間が教えてくれるし、僕はまだ彼女が近くにいるのを感じるんだ。」
「そうなんだ。
運良く、おかしな奴らが探してたって教えてくれた人がいたから、僕らは逃げおおせることが出来た。
だけど、それからは旅行気分もどこへやらだ。
奴らにみつからないようにレティシアの知り合いを必死に探した。
だが、知り合いはなかなかみつからないし、追い詰められて、本当にもうおしまいかってことも何度かあったんだ。
そのうちに、レティシアは僕に町に帰るように言い出した。
奴らが探してるのは私だけだからって言って…
だけど、そんなこと…聞けるはずがない!」
急に感情的な声を上げたオズワルドに、皆、驚いたような視線を向けた。
「……彼女を愛してしまったんだな…?」
ダルシャの問いにオズワルドは、俯いたまま小さく頷く。
「おそらく…会った瞬間から、僕は彼女にひかれてた。
一目惚れなんて、こんな年になってからするとは思わなかったよ。
そして、一緒に旅をしているうちに、僕はますます彼女のことが好きになってしまったんだ。」
「だが、護り人である君は……」
「そうだよ。
僕にはそんな気持ちを打ち明けることなんて出来ない。
だから……僕はいずれ、彼女に命を託す役目を果たそうと思ってた……」
オズワルドのその言葉に、セリナは苦しそうに顔を歪めた。
「そうだったのか…
それで、彼女とはいつどんな風に別れたんだ?」
「僕らはレティシアの知り合いの知り合いが貸してくれた家に隠れていたんだけど、ある日、そこを奴らの一人にみつかった。
その時は、僕と知人がいたから、なんとか返り討ちに出来たものの、僕と知人は怪我をした。
特に、知人の怪我は酷いもので、レティシアはそのことをとても悔やんでいた。
それから数日後、レティシアは突然姿を消した。
ちょうどその頃、今度は二人組が近くに現れ、僕は知人の仲間達に協力してもらって、奴らを葬った。
島についてきたのは三人だから、もう危険はないはずだ。
なのに、レティシアは姿を消したまま、相変わらず出てこない。」
「今、君は、出てこないといったが、彼女はすでにこの島を離れたということはないのか?」
オズワルドは、小さく手を振った。
否定の意味での動作だ。
「それはない。定期船に彼女が乗れば、知人の仲間が教えてくれるし、僕はまだ彼女が近くにいるのを感じるんだ。」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
聖女なので公爵子息と結婚しました。でも彼には好きな人がいるそうです。
MIRICO
恋愛
癒しの力を持つ聖女、エヴリーヌ。彼女は聖女の嫁ぎ制度により、公爵子息であるカリス・ヴォルテールに嫁ぐことになった。しかしカリスは、ブラシェーロ公爵子息に嫁ぐ聖女、アティを愛していたのだ。
カリスはエヴリーヌに二年後の離婚を願う。王の命令で結婚することになったが、愛する人がいるためエヴリーヌを幸せにできないからだ。
勝手に決められた結婚なのに、二年で離婚!?
アティを愛していても、他の公爵子息の妻となったアティと結婚するわけにもいかない。離婚した後は独身のまま、後継者も親戚の子に渡すことを辞さない。そんなカリスの切実な純情の前に、エヴリーヌは二年後の離婚を承諾した。
なんてやつ。そうは思ったけれど、カリスは心優しく、二年後の離婚が決まってもエヴリーヌを蔑ろにしない、誠実な男だった。
やめて、優しくしないで。私が好きになっちゃうから!!
ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。誤字もお知らせくださりありがとうございます。修正します。ご感想お返事ネタバレになりそうなので控えさせていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる