夢の硝子玉

ポーリシアの老女

７８

「……つまらない話を聞かせてしまって悪かったね。
どうか忘れておくれ。」

 「ううん、つまらないことなんて、そんなことないよ……
でも、ごめんね……なんだか辛い事思い出させて……」

 「何を言ってるんだい。
あんたのせいじゃないよ。
こんなこと、誰にも話したことなかったんだけど……きっと久し振りに飲んだ酒のせいでおかしくなってたんだ。
でも、あんたに聞いてもらったおかげで心が少し軽くなったよ。
……ありがとうよ。」

サンドラはそう言って、どこか無理した微笑を浮かべた。



 「ううん、ボクには何も出来ないけど……
でもね、絶対におばあさんが悪いんじゃないよ。
だから、自分を責めないで…！
アイシャさんのことはとても残念だと思うけど……でも、本当におばあさんは悪くない！
そんなことで差別する人が悪いんだ！
 魔法使いだって人間だって……それに獣人だって、みんな同じ世界に生きてて……仲間みたいなもんじゃない。
それなのに…見た目や寿命や…そんなつまらないことで差別するなんて……そんなのおかしいよ！」

 話すうちに、エリオットの感情は高ぶり、瞳には溢れそうな涙が浮かんでいた。



 「エリオット……
あんたの気持ちはよくわかったよ。」

サンドラはエリオットをなだめるように、肩を優しく叩き、穏やかな笑みを浮かべた。