夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ポーリシアの老女

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 「ごちそうさま。
とても、おいしかったよ。」

そう言って、サンドラはエリオットに微笑みかけた。



 「ごめんね。
ボク、たいしたものが作れなくて……」

エリオットが作ったものは畑の野菜を炒めた物と、煮込んだスープのような簡単なものだった。



 「何を言ってるんだい。
とてもおいしかったよ。
それに…部屋も見違えるように綺麗になった。」

 「まだそんなに綺麗じゃないよ。
ざっと片付けただけだから。
でも、台所は綺麗になったでしょ?
これから他の部屋も綺麗にするからね。
それと……明日はお風呂に入ろうね。」

 「……何から何まですまないね。
あんた、ここに来てからずっと働き詰めだけど身体は大丈夫なのかい?」

 「うん、全然平気だよ!
 普段から鍛えて……っていうのは言い過ぎかもしれないけど、ボク達ずっと旅してるからそれなりに体力はあるから。」

 「へぇ…旅を…
一体、どこに行くつもりなんだい?」

 「う~ん…どこって決まってるわけじゃないんだけど……」

 願い石を探してあちこちを旅してると話すと、ここへ来たのも願い石のためだということがバレてしまう。
どう答えたら良いものかと、エリオットは戸惑い口篭もる。



 「言いにくいことなら、別に無理して言わなくて良い。
 誰にだって、話したくないことの一つや二つはあるからね。」

 「……おばあさんにもあるの?」

 「そりゃああるさ。」

 恐る恐る訊ねたエリオットに、サンドラは静かな声でそう答えた。



 「そういえば、おばあさんは魔法使いなんだよね?
 実は、ボクもなんだよ。」

 「えっ!?あんた…魔法使いなのかい!」

サンドラはたいそう驚き、エリオットの顔をじっとみつめた。



 「おばあさん……どうかしたの?」

 「い…いや……
そうかい、あんたは魔法使いだったのか……
 ……でも、それなら、どうして魔法を使わない?
 魔法でならここを片付けるのも簡単なことだろう?」

 「あ……そっか。
ボク…滅多に魔法は使わないから、忘れてたよ。」

 「魔法使いなのに、魔法は使わない……?
どうしてだい?」

 「どうしてって……
そうだね…あんまり魔法を使い慣れてないせい…なのかな。
……それに、魔法を使わなくても出来る事なら、使うことないじゃない。」

そう言って、無邪気に微笑んだエリオットに、サンドラの表情も同じように緩んだ。
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