夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ポーリシアの老女

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「そんな生活してたら、ますます身体が悪くなっちゃうよ……
よしっ!ボク、明日から頑張って出来るだけここを住みやすい場所にするよ。」

 「馬鹿言っちゃいけないよ。
さっきも言った通り、私には金がないんだ。
あんたはただ掃除や片付けをしてくれりゃあ良いんだ。
 金はないけど、願い石は本当にあげる。
 私は、嘘は吐かないよ。」

 「おばあさん…その……」

エリオットは、願い石の話を訊ねようとしたが、いくらなんでも来たばかりでそのことを訊ねるのはあまりにも露骨だと考え直し、言葉を濁した。



 「なんだい?」

 「え…あの…ボ、ボクはどこに寝れば良い?」

 「空いてる部屋ならどこでも良いさ。」

 「そ、そう…ありがとう。
じゃあ、ボク、そろそろ休ませてもらうね。
お婆さんもゆっくり休んで。」

 「……ありがとうよ。
あんたは、今までで一番感じの良い子だよ。」

サンドラに手を貸し、寝室まで連れて行ったエリオットは、話に聞いていた程、サンドラが怖い者じゃないことを知り、ほっと胸を撫で下ろした。



 (最初は怖いかと思ったけど、ちゃんとした人じゃない。
 良かった……
それに、なんだか可哀相だ。
お婆さんは身体が不自由なのに、誰も面倒をみてくれないなんて…
とにかく、ボクに出来るだけのことはしよう。)

エリオットは、そんなことを考えながらいくつかの部屋を開けて回った。
 老婆が一人で暮らすには、広すぎる家で、部屋数も多い。
しかも、どの部屋も同じように散らかっている。



 (……これじゃあ、どの部屋も同じそうだな。)



エリオットは、三つ目に空けた部屋に入った。
 適当に物を片隅に退け、腰を降ろしたベッドはかび臭かった。



 (なんだか、湿った感じだな…
明日も、朝から掃除を頑張らないと!
それにしても、あのお婆さん…本当に願い石を持ってるような口ぶりだった。
……もしかしたら、お婆さんは偽物の願い石を本物だと思いこんで持ってるのかも…)



 横になり、そんなことを考えるうちにエリオットの瞼は重くなり、いつの間にか小さな寝息を立てていた。

 
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