夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ポーリシアの老女

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 「……ジャック……本当にもう良いから戻ってちょうだい。」

 「そうはいかない!
 俺は、フレイザーの代わりにあんたをフォスターまで送り続けるって約束して来たんだ。
あんたを無事に送り届ける義務がある。」

 「無事も何も、このあたりは人もよく通ってるし、何も心配いらないわ。」

 「大丈夫だろうがなんだろうが、とにかく俺はフォスターまで着いて行く。」

 「……もう~……」



セリナは、フォスターまでは一人で戻ると言い張ったが、フレイザーとジャックはそれを許さなかった。
イグラシアを離れてからセリナを追跡する者の気配は感じられなかったが、だからといって油断は出来ない。
セリナを一人にしないということは、仲間内では暗黙の了解事となっている。
フレイザーが送って行くと申し出たが、足を怪我している彼を気遣い、ジャックが代わりに行くと言い出した。
フレイザーは、当然、ジャックだけでは心配だと反論したがジャックも決して引くことはなく、すったもんだのやりとりの末にようやくフレイザーも根負けした。



 「本当にあなたは頑固なんだから…」

 「当たり前だろ。
あんたは特別な人なんだからな…」

 「特別な人、か…………」

セリナの声が急に沈んだものに変わったことに、ジャックは気付いた。



 「あ…別に悪い意味で言ってるんじゃないぞ。
ただ、あんたは……」

 「わかってるわ……
私にこんな力がなかったら……
私の人生はもっと違ったものになったでしょうね……」

 「セリナ……」

 「ジャック、そんな顔しないで!
 私はなんとも思ってないわ。
これも私の運命なのよ。
こういう力を持って生まれてきたのは、私の……」

 話の途中で不意に足を停めたジャックを、セリナは怪訝な顔でみつめた。
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