夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ポーリシアの老女

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「ありがとう、フレイザー…
でも、本当に無理しないでくれ。
 俺は…一生誰も愛することなんてないと思ってたのに、一人だけ愛せる人が出来た。
 心の底からありがたいって思ってる。感謝してる。
だから……はっきり決心出来たんだ。
もう思い残すことは何もないから。」

 「何、言ってんだ。
まだたかだが十何年しか生きてないのに、思い残すことがないだなんて…
だいたい…」

 「さ、くだらないこと言ってないで、早く寝た、寝た。
やっと船旅が終わってほっとしてるんだからゆっくり寝かせてくれよ。
……もう怖い夢見ておきるんじゃないぞ。」

フレイザーの言葉を遮ってジャックはそう言うと、くるりとフレイザーに背中を向けた。



 「そ、そんなに怖い夢ばっかり見ないさ。」

しばらく待っても何の返事をしないジャックを気遣い、フレイザーももうそれ以上何も言わずにいた。
 本当はもっとジャックと話をしたいという気持ちを懸命に堪えて…







 次の日、朝になってようやく戻って来たダルシャのせいで、いつもよりだいぶ遅い朝食を採った六人は、夕食まで、各自、自由に過ごすこととなった。
ダルシャはしばらく部屋で休むと言い、フレイザーはまたエリオットを呼び出した。



 「何度も呼び出してごめんな。」

 「それは別に構わないけど…どうしたの?
また、ジャックとなにかあった?」

 「そういうわけじゃないんだけど…
昨夜、戻ったらあいつはもうベッドに入ってた。
あいつ、いつもはけっこう夜更かしなのに、疲れたとかなんとか言ってな…
あんなことを話した後だし、もしかしたらそのことを俺が訊ねると思ったのかもしれないって考えて、俺ももうなにも話さなかったんだ。
で、ずっと横になって考えてたんだけど……それで、つい、声を出してしまって……
そしたら、すぐにジャックがどうした?って……
あいつ、多分、寝たふりしてたんじゃないかって思うんだ。
それで、夢を見て目が覚めたって誤魔化したんだけど、その時ちょっとだけ話をして……」

フレイザーは、昨夜のことをひとつひとつ思い出すように、ゆっくりと話を進めた。

 
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