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ポーリシアの老女
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「どうしたの?
相談って…ジャックのこと?」
ジャックの話の後、ダルシャとラスターは別々に町に繰り出し、セリナはジャックを部屋に呼び出した。
それを良いことに、フレイザーはエリオットを外へ連れ出し、二人は公園のベンチに並んで腰を降ろした。
「う、うん…まぁな…
あの、さ……じ、実は……」
「本当にびっくりしたよ。
ジャックが女の子だったなんて…
でも、フレイザーはなんでわかったの?」
「え…?あ、あぁ、それが…ディーラスに行く前に、俺の傷が良くなるようにってあいつが温泉に連れて行ってくれたんだ。
一緒に入ろうって誘ってもあいつは入らなくて、入らないのには何か事情があるのかもしれないって思って、俺も無理には誘わなかったんだ。
だけど、最後の日の夜中、あいつは一人で宿を抜け出してな…
あいつがいないことに気付いて、もしかしかしたらって思って、温泉に行ってみたら、案の定ジャックは温泉に行ってて、それで、その……」
「……そうだったんだ…!
びっくりしたでしょう。」
「あぁ、めちゃくちゃ驚いたよ。
でも、俺…ジャックが病気にかかってるんだって思ったんだ。
身体が女に変わっていく病気か、もしくはダルシャみたいに何かの呪いじゃないかって…」
フレイザーの言葉に、エリオットはあんぐりと口を開けたまま呆れた顔を彼の方に向けた。
「君は本当に変わってるっていうか、なんていうか…
普通は、すぐに女の子だったんだって思うだろ…」
「セリナ達にもそんな風に言われたよ。
だけど、俺はそう思ったんだから仕方ないじゃないか。
……だから、あいつが女だって知った時は信じられない想いだったよ。
それに…あいつの身の上……」
二人の表情がにわかに曇り、エリオットは黙ったままでただ小さく頷いた。
「ジャックにはなにかあるとは思ってたけど…
酷いよね…
ジャック、可哀相に……」
エリオットは、か細い声でそう言って、大きな瞳を潤ませた。
「あいつがあんな風になるのも当然だよな……
俺、なんでそんなことが起きる前にジャックに会えなかったんだろうって思ったら……悔しくてたまらないよ。」
「ねぇ、フレイザー…ジャックは本当に男になるつもりなのかな?
でも……それで良いのかな?
もっと良い方法はないのかな?
ねぇ、フレイザー…どう思う?
ボク達に何か出来ることはない?」
エリオットはフレイザーの腕をひっぱり、返事をせがむ。
「どうしたの?
相談って…ジャックのこと?」
ジャックの話の後、ダルシャとラスターは別々に町に繰り出し、セリナはジャックを部屋に呼び出した。
それを良いことに、フレイザーはエリオットを外へ連れ出し、二人は公園のベンチに並んで腰を降ろした。
「う、うん…まぁな…
あの、さ……じ、実は……」
「本当にびっくりしたよ。
ジャックが女の子だったなんて…
でも、フレイザーはなんでわかったの?」
「え…?あ、あぁ、それが…ディーラスに行く前に、俺の傷が良くなるようにってあいつが温泉に連れて行ってくれたんだ。
一緒に入ろうって誘ってもあいつは入らなくて、入らないのには何か事情があるのかもしれないって思って、俺も無理には誘わなかったんだ。
だけど、最後の日の夜中、あいつは一人で宿を抜け出してな…
あいつがいないことに気付いて、もしかしかしたらって思って、温泉に行ってみたら、案の定ジャックは温泉に行ってて、それで、その……」
「……そうだったんだ…!
びっくりしたでしょう。」
「あぁ、めちゃくちゃ驚いたよ。
でも、俺…ジャックが病気にかかってるんだって思ったんだ。
身体が女に変わっていく病気か、もしくはダルシャみたいに何かの呪いじゃないかって…」
フレイザーの言葉に、エリオットはあんぐりと口を開けたまま呆れた顔を彼の方に向けた。
「君は本当に変わってるっていうか、なんていうか…
普通は、すぐに女の子だったんだって思うだろ…」
「セリナ達にもそんな風に言われたよ。
だけど、俺はそう思ったんだから仕方ないじゃないか。
……だから、あいつが女だって知った時は信じられない想いだったよ。
それに…あいつの身の上……」
二人の表情がにわかに曇り、エリオットは黙ったままでただ小さく頷いた。
「ジャックにはなにかあるとは思ってたけど…
酷いよね…
ジャック、可哀相に……」
エリオットは、か細い声でそう言って、大きな瞳を潤ませた。
「あいつがあんな風になるのも当然だよな……
俺、なんでそんなことが起きる前にジャックに会えなかったんだろうって思ったら……悔しくてたまらないよ。」
「ねぇ、フレイザー…ジャックは本当に男になるつもりなのかな?
でも……それで良いのかな?
もっと良い方法はないのかな?
ねぇ、フレイザー…どう思う?
ボク達に何か出来ることはない?」
エリオットはフレイザーの腕をひっぱり、返事をせがむ。
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