夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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波に揺られて

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 「う…う~ん……」

 「おはよう、フレイザー。
ようやく目が覚めたか。」

 「あ…頭が痛い。
ダルシャ…今、何時だ?」

ゆっくりと上体を起こしたフレイザーは、その途端、額に手をやり顔をしかめた。



 「なに、まだそれほど遅い時間じゃない。
ただ、ラスターはそろそろ腹が減ったと苛々する頃だろうがな…」

 「そうか…それは悪いな。
 急がないと…」

 「まぁ、そう無理するな。
 顔を洗ったら、ダグラスさんの薬を飲んでおくと良い。」

 「そうするよ。
ところで、ダルシャ…昨夜、俺、なにかおかしなこと言わなかったか?」

 「なんだ…全然覚えていないのか…
 ……おかしなこととは、たとえばどんなことだ?」

 「どんなって…た、たとえば…その…ジャックのこととか…」

 「ジャックのこと?
いや、ジャックのことは特に言ってなかったぞ。
ブライアンの占いがどうこうとか、ポーリシアのことを話していたが…」

ダルシャの返事に、フレイザーの不安げな顔がほっとしたようなものに変わった。



 「そ、そうか…
じゃ、俺、顔洗って来るよ。」

いそいそと歩き出したフレイザーに、ダルシャは俯いて笑いを噛み殺した。



 *



 「どうだ?ジャック、うまいか?」

 「あ、あぁ…うまいよ。
ありがとう。」

いつもなんとなく自然に決まっていたテーブルの席順が今日に限っていつもと違い、ダルシャはジャックの隣に座って、なにくれとなくジャックの世話を焼く。
ジャックもダルシャのすることに、まんざらでもない様子で対応する。
 朝食が済んだ後も、甲板でずっと密着して話しているダルシャとジャックを、少し離れた場所にいたエリオット達は不思議そうにみつめた。



 「……ねぇ、フレイザー。
なんだか今日のダルシャ、おかしいよね。
ジャックにずっとつきっきりだよ。」

 「確かに…」

 「ここ数日、ジャックが元気なさそうだって、ダルシャは気にかけてたわよ。」

そう言って、セリナはちらりとフレイザーの方を見やり、フレイザーはその視線をあわてて逸らす。



 「ねぇ、エリオット…喉乾かない?
 悪いんだけど、何か飲み物をもらって来てくれる?」

 「良いよ。
フレイザーも何か飲む?」

 「あぁ、俺は今は良い。」



 駆け出したエリオットの後ろ姿を、セリナは黙って目で追う。
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