389 / 802
波に揺られて
2
しおりを挟む
*
「皆、体調は大丈夫か?」
ダルシャの言葉に、皆の視線がラスターに集まった。
「な、なんだよ。」
ラスターは顔を上げ、食事の手を停めて不満そうな声を漏らした。
「ダグラス爺さんの薬がみつかって良かったわね。」
「この前は悲惨だったもんねぇ…」
ラスターは小さく舌を打ち、再び、料理を口に運び始めた。
フレイザーとジャックは顔を見合わせ、無理に笑いを押し殺す。
「元気ならそれで良い。
ポーリシアまでは七日だそうだから、そう退屈する程でもないだろう。」
「今回もまた着いたら適当に探すつもりなのか?」
「そうだな…残念ながらあてはないから、そういうことになるだろうな。
だが、適当とはいえ、私達にはセリナがいる。
今まで四つの大陸で私達は願い石…ほとんどは双子石だったが、それらをみつけることが出来た。
これは本当にすごいことだが、それにはやはりセリナの存在が大きい。」
「そんなことないわ。
私達は、ツキとか運とか…いえ、それ以上のなにか目には見えない力に護られてるような気さえするのよ。
だって、ジャーマシーでもダルシャがブライアンの話を聞き込んで来なければ手掛かりすらなかったのよ。
仮になんとかディーラスまで辿りつけたとしても、それにはきっともっと長い時間がかかったでしょうし、私の力ではあの祠で願い石をみつけられたかどうか…」
セリナの話に、皆、得心したように小さく頷いた。
今まで旅して来た四つの大陸での出来事を思い出すと、まるで最初から謀られていたかのように思えることさえあったことを、各々が実感していた。
「今度も必ずみつけようね!」
「もちろんよ!
……あ…そういえば、願い石はあと三つしかないのよね。
それが全部願い石だったとしても、三つじゃ皆の願いは…」
そう言って、セリナは皆の顔を順番に見渡した。
「あ…お、俺達は別に良いんだ。
記憶なんてきっとそのうち戻るだろうし、戻らなきゃ戻らないでなんとかなるし…」
「う、うん。そうそう。」
「君達のことは私が責任を持つ。
たとえ、記憶が戻らなくても生活の心配はしなくて大丈夫だ。」
ラスターはその言葉に反射的に鼻を鳴らした。
「さすがに金持ちは違うな。
二人の面倒くらい、ペットを飼うのと同じようなもんだってことか。」
「ラスター、ダルシャは何もそんなつもりで…」
ダルシャをかばうエリオットを、ラスターは意地悪い視線で睨み付けた。
「皆、体調は大丈夫か?」
ダルシャの言葉に、皆の視線がラスターに集まった。
「な、なんだよ。」
ラスターは顔を上げ、食事の手を停めて不満そうな声を漏らした。
「ダグラス爺さんの薬がみつかって良かったわね。」
「この前は悲惨だったもんねぇ…」
ラスターは小さく舌を打ち、再び、料理を口に運び始めた。
フレイザーとジャックは顔を見合わせ、無理に笑いを押し殺す。
「元気ならそれで良い。
ポーリシアまでは七日だそうだから、そう退屈する程でもないだろう。」
「今回もまた着いたら適当に探すつもりなのか?」
「そうだな…残念ながらあてはないから、そういうことになるだろうな。
だが、適当とはいえ、私達にはセリナがいる。
今まで四つの大陸で私達は願い石…ほとんどは双子石だったが、それらをみつけることが出来た。
これは本当にすごいことだが、それにはやはりセリナの存在が大きい。」
「そんなことないわ。
私達は、ツキとか運とか…いえ、それ以上のなにか目には見えない力に護られてるような気さえするのよ。
だって、ジャーマシーでもダルシャがブライアンの話を聞き込んで来なければ手掛かりすらなかったのよ。
仮になんとかディーラスまで辿りつけたとしても、それにはきっともっと長い時間がかかったでしょうし、私の力ではあの祠で願い石をみつけられたかどうか…」
セリナの話に、皆、得心したように小さく頷いた。
今まで旅して来た四つの大陸での出来事を思い出すと、まるで最初から謀られていたかのように思えることさえあったことを、各々が実感していた。
「今度も必ずみつけようね!」
「もちろんよ!
……あ…そういえば、願い石はあと三つしかないのよね。
それが全部願い石だったとしても、三つじゃ皆の願いは…」
そう言って、セリナは皆の顔を順番に見渡した。
「あ…お、俺達は別に良いんだ。
記憶なんてきっとそのうち戻るだろうし、戻らなきゃ戻らないでなんとかなるし…」
「う、うん。そうそう。」
「君達のことは私が責任を持つ。
たとえ、記憶が戻らなくても生活の心配はしなくて大丈夫だ。」
ラスターはその言葉に反射的に鼻を鳴らした。
「さすがに金持ちは違うな。
二人の面倒くらい、ペットを飼うのと同じようなもんだってことか。」
「ラスター、ダルシャは何もそんなつもりで…」
ダルシャをかばうエリオットを、ラスターは意地悪い視線で睨み付けた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移
龍央
ファンタジー
高校生紺野陸はある日の登校中、車に轢かれそうな女の子を助ける。
え?助けた女の子が神様?
しかもその神様に俺が助けられたの?
助かったのはいいけど、異世界に行く事になったって?
これが話に聞く異世界転移ってやつなの?
異世界生活……なんとか、なるのかなあ……?
なんとか異世界で生活してたら、今度は犬を助けたと思ったらドラゴン?
契約したらチート能力?
異世界で俺は何かをしたいとは思っていたけど、色々と盛り過ぎじゃないかな?
ちょっと待って、このドラゴン凄いモフモフじゃない?
平凡で何となく生きていたモフモフ好きな学生が異世界転移でドラゴンや神様とあれやこれやしていくお話し。
基本シリアス少な目、モフモフ成分有りで書いていこうと思います。
女性キャラが多いため、様々なご指摘があったので念のため、タグに【ハーレム?】を追加致しました。
9/18よりエルフの出るお話になりましたのでタグにエルフを追加致しました。
1話2800文字~3500文字以内で投稿させていただきます。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させて頂いております。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる