夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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波に揺られて

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 「なるほど、そうだったのか…それで…」

 船の甲板で広い海をみつめながら、フレイザーがぽつりと呟いた。

ポーリシア行きの船に乗り込んだ六人は、食事までの時間を各々自由に過ごすことになった。
フレイザーとエリオットは、甲板に出てディーラスでの事について話し合っていた。



 「そうでも言わなきゃジャックが納得しそうになかったからね。
 彼は、君とずっと一緒にいるから、やっぱりおかしいって思ったんだよ。」

 「……そうか…すまなかったな。」

 「なんでフレイザーが謝るんだよ。」

 「なんでって、そりゃあ…」

 視線を逸らし、口篭もるフレイザーの背中を、エリオットが優しく叩く。



 「フレイザー…ボクなら大丈夫だよ。
あのことなら、ボク、もうしっかり受け止めてるから…
 ……心配してくれてありがとう。」

 「……おまえ、強くなったな。」

エリオットは俯いてはにかんだ笑顔を浮かべた。



 「それにしてもブライアンの占いは怖い程だったな。
すっかり、俺やおまえのことを見通してた…
あのまま視てもらい続けたら、きっと俺達が別の世界から来たこともバレてただろうな。」

 「ボクもそう思うよ。
 手に触れるだけであんなに全部わかってしまうなんて…
あれは占いっていうより、超能力だね。」

 「超能力…?
……言われてみたら、確かにそんな感じだな。
そうでなきゃ、生年月日や本名も知らずに、あんなことまでわからないよな。」

 「生年月日や本名がわかったって、あんなことわかるわけないよ。
もしかしたらそういう人はここではすごく少ないのかもしれない。
ほら、僕らの世界でも、大昔には魔女狩りっていうのがあったじゃないか。
あれって、全くの濡れ衣の人もいたみたいだけど、ほんのちょっと人と違う能力のある人が捕まったんじゃなかったっけ?
もしかしたら、この世界にもそういうことがあって、みんなあんまり自分の能力について話さないんじゃ…」

 「でも、エリオット…この世界には魔法使いがいるんだぜ。
おまえ、自分が魔法使いだってこと忘れたのか?」

 「あ……そうだったね。」

 二人は、顔を見合せて笑った。



 「あら、楽しそうに何のお話?」

 「あ、セリナ……」

 「ダルシャがそろそろ食事にしないかって…
それで探しに来たんだけど、お邪魔だった?」

 「いや、そんなことないよ。
じゃあ、行こうか。」

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