夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ディーラスを目指して

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 「そこです。
そこを掘ってみてください。
すぐにみつかるはずです。」

ブライアンは、台座の向こうの土砂の固まりを指差す。



 「わかってる!
……ダルシャ、明かりを持っててくれ。」

ラスターは苛立った声をあげ、ランプを手渡すと台座を横に退け、その後ろの土砂を素手で掘り始めた。



 「あ……」

ブライアンの言った通りだった。
ほんの少しの土砂を払っただけで、すぐに願い石のつるりとした表面が姿を現した。
それを見たラスターの手の動きが早まり、願い石はあっと言う間に土砂の中から掘り出された。



 「あった……」

ラスターが服の裾で願い石の表面を拭うと、本来の美しい紫色がよみがえった。



 「ほらね…ブライアンの言った通りでしょう?」

セリナのその一言で放心状態だったラスターは我に返り、敵意のこもった眼差しでブライアンをきっと睨み、願い石を両手で包み込むようにして持ち上げた。



 「金を…一生、おもしろおかしく遊んで暮らせるだけの大金をくれ!」



 洞窟の中に、ラスターの悲痛な叫びが響き渡る。



 束の間の息詰まる静寂…



「……だめだ。
こいつは双子石だ…」



 残念そうな…なのに、不思議とどこかほっとしたようにラスターが呟いた。



 「双子石だったか…」

ラスターの言葉を繰り返し、ダルシャはゆっくりと息を吐き出す。



 「ね…ラスター…その石、ボクにくれないかな?」

エリオットがおずおずとラスターに声をかけた。



 「この石を?だけど、これは双子石だから願いが叶うわけじゃないんだぞ。」

 「う、うん、それでも良いんだ。
ボク…紫が好きなんだよ。」

 「へぇ、そうだったんだ…
ダルシャ、エリオットにやっても良いよな?」

 「あぁ、構わん。」

ダルシャの了解を得て、エリオットはラスターから紫色の願い石を受け取った。



 「あ、ありがとう!
ボク、大切にするよ!」



 嬉しそうに紫の双子石を手に取るエリオットを見て、フレイザーも安心したように微笑んだ。



 「……それじゃあ…戻るとするか…
戻ったら、久し振りの再会を祝って宴会だな。」



ダルシャの声に従い、一行はぞろぞろと外に向かって歩き始めた。

 
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