夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ディーラスを目指して

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「ラスター、ブライアンは本当に願い石を使う気なんてないわ。
それにこの洞窟に願い石があるのも、事実。
……ブライアン、あなたの見たことをこのわからず屋に言ってやって下さい。」

ブライアンは少し驚いた様子でセリナをみつめ、救いを求めるような視線をダルシャに移した。
ダルシャは、その視線にゆっくりと頷く。



 「……願い石は、台座の後ろ側の土砂の中に埋もれています。
とても美しい紫の願い石です。」



 (紫色……!?)



それを聞いたフレイザーはエリオットをみつめ、エリオットもフレイザーと同じことを考えていたらしく、二人の視線はぶつかった。



 「そうか…紫色だから、ラピュラスの祠だったのか…」

ジャックの小さな呟きに、セリナも黙って頷いた。



 「間違いないわね…さぁ、早速、確かめに行きましょう。
ラスター、あなたが先頭よ。
ブライアンとは私が手を繋いでるわ。
それなら文句ないでしょう?」

 「あ…あぁ……」

ラスターはランプに火をつけ、洞窟に足を踏み入れた。
その後をセリナと手を繋いだブライアン、ダルシャが続き、歩き出したジャックがその場から動こうとしない二人を不審に感じて振り向いた。



 「フレイザー、エリオット…行かないのか?」

 「あぁ、もちろん行くさ。
すぐに行くから、先に行っててくれ。」

 二人の様子になにかを感じたジャックは、どこか納得しない顔をしながらも言われるままに洞窟の中へ進んだ。



 「エリオット…聞いたか?
ここにある願い石は紫色だって…」

フレイザーはエリオットに顔を寄せ、声をひそめて囁く。



 「紫って…僕らのことを家族が忘れるように使った最後の石だよね?」

 「そうだ…だったら、ここにあるのは双子石ってことになる…」

 「…双子石だったら、この世界の願い石と僕らが使ったあの硝子玉は関係が深いって説をますます裏付けるものになるわけだね…」

 「……そういうことになるな。」



いまだ釈然としない、あの日二人が本来の世界でみつけた遺跡の硝子玉と、この世界の願い石の関係に、紫の石の存在が深く関わることを感じながら、二人は洞窟に向かって歩き始めた。
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