367 / 802
ディーラスを目指して
53
しおりを挟む
「ところで、フレイザー…着いた早々で悪いのだが、ディーラスへは明日出発ということで大良いかな?」
「あぁ、全然問題ない。」
「ダルシャ…フレイザーは怪我をしている。
まだ治りきってないし、せめて一日…」
「怪我…?
あの時の怪我のほかに、また怪我をしたのか?」
「実は……」
フレイザーが止めるのも聞かず、ジャックはフレイザーが傷を負ったいきさつを切々と話し始めた。
「……そんなことがあったのか…
それでこんなに遅くなったんだな…」
「ダルシャ、もう心配ないって。
そりゃあ触ったら痛いけど、触らなきゃもうなんともないんだ。
今回は、出血もそれほど多くなかったし、身体への負担もたいしたことない。
ジャックが心配性なだけなんだ。」
「だけど、フレイザー…」
「おまえは本当に心配性だなぁ…」
困ったような表情を浮かべるフレイザーの視線をはずし、ジャックはそっと俯いた。
怪我をしていると聞いては、無理をさせて良いものかとダルシャも躊躇い、その場には気まずい沈黙が流れた。
「では、私達だけで…」
「……じゃあ、ダルシャ。」
同時に発せられたダルシャとジャックの声が重なった。
「なんだ、ジャック?」
ダルシャは、ジャックに話の順番を譲った。
「あ…あぁ…もし明日出発するなら、馬車で行かせてもらえないか。
馬車だったら座ってるだけだから、フレイザーの身体にも障らないと思うし…」
「もちろん、私としてもそうしたい所だが、あいにくここから先は馬車がないんだ。」
「……でも、俺達、ここへ夜途中に馬車を見たぜ。」
「そんな筈はないだろう…ここから先は確かに…」
「ダルシャ、そのことですが…
隣町には、乗り合いの馬車とは違うんですが、頼めば走ってくれる馬車屋があるようでしたよ。
ただ、乗り合いの倍程の値段がするということでしたが…」
「なんだって!?そんなものがあったのか!
それなら、慌しいが私とブライアンで今から隣町に行って、話をつけてこよう。
君達は私達の宿に泊まって、明日の朝、迎えに行くから準備しといてくれ。
私達の荷物も頼む。
……それで良いな?」
立ちあがったダルシャに、三人は同時に頷いた。
「あぁ、全然問題ない。」
「ダルシャ…フレイザーは怪我をしている。
まだ治りきってないし、せめて一日…」
「怪我…?
あの時の怪我のほかに、また怪我をしたのか?」
「実は……」
フレイザーが止めるのも聞かず、ジャックはフレイザーが傷を負ったいきさつを切々と話し始めた。
「……そんなことがあったのか…
それでこんなに遅くなったんだな…」
「ダルシャ、もう心配ないって。
そりゃあ触ったら痛いけど、触らなきゃもうなんともないんだ。
今回は、出血もそれほど多くなかったし、身体への負担もたいしたことない。
ジャックが心配性なだけなんだ。」
「だけど、フレイザー…」
「おまえは本当に心配性だなぁ…」
困ったような表情を浮かべるフレイザーの視線をはずし、ジャックはそっと俯いた。
怪我をしていると聞いては、無理をさせて良いものかとダルシャも躊躇い、その場には気まずい沈黙が流れた。
「では、私達だけで…」
「……じゃあ、ダルシャ。」
同時に発せられたダルシャとジャックの声が重なった。
「なんだ、ジャック?」
ダルシャは、ジャックに話の順番を譲った。
「あ…あぁ…もし明日出発するなら、馬車で行かせてもらえないか。
馬車だったら座ってるだけだから、フレイザーの身体にも障らないと思うし…」
「もちろん、私としてもそうしたい所だが、あいにくここから先は馬車がないんだ。」
「……でも、俺達、ここへ夜途中に馬車を見たぜ。」
「そんな筈はないだろう…ここから先は確かに…」
「ダルシャ、そのことですが…
隣町には、乗り合いの馬車とは違うんですが、頼めば走ってくれる馬車屋があるようでしたよ。
ただ、乗り合いの倍程の値段がするということでしたが…」
「なんだって!?そんなものがあったのか!
それなら、慌しいが私とブライアンで今から隣町に行って、話をつけてこよう。
君達は私達の宿に泊まって、明日の朝、迎えに行くから準備しといてくれ。
私達の荷物も頼む。
……それで良いな?」
立ちあがったダルシャに、三人は同時に頷いた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
素質ナシの転生者、死にかけたら最弱最強の職業となり魔法使いと旅にでる。~趣味で伝説を追っていたら伝説になってしまいました~
シロ鼬
ファンタジー
才能、素質、これさえあれば金も名誉も手に入る現代。そんな中、足掻く一人の……おっさんがいた。
羽佐間 幸信(はざま ゆきのぶ)38歳――完全完璧(パーフェクト)な凡人。自分の中では得意とする持ち前の要領の良さで頑張るが上には常に上がいる。いくら努力しようとも決してそれらに勝つことはできなかった。
華のない彼は華に憧れ、いつしか伝説とつくもの全てを追うようになり……彼はある日、一つの都市伝説を耳にする。
『深夜、山で一人やまびこをするとどこかに連れていかれる』
山頂に登った彼は一心不乱に叫んだ…………そして酸欠になり足を滑らせ滑落、瀕死の状態となった彼に死が迫る。
――こっちに……を、助けて――
「何か……聞こえる…………伝説は……あったんだ…………俺……いくよ……!」
こうして彼は記憶を持ったまま転生、声の主もわからぬまま何事もなく10歳に成長したある日――
異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い
八神 凪
ファンタジー
旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い
【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】
高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。
満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。
彼女も居ないごく普通の男である。
そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。
繁華街へ繰り出す陸。
まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。
陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。
まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。
魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。
困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。
元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。
なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。
『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
そう言い放つと城から追い出そうとする姫。
そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。
残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。
「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」
陸はしがないただのサラリーマン。
しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。
今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移
龍央
ファンタジー
高校生紺野陸はある日の登校中、車に轢かれそうな女の子を助ける。
え?助けた女の子が神様?
しかもその神様に俺が助けられたの?
助かったのはいいけど、異世界に行く事になったって?
これが話に聞く異世界転移ってやつなの?
異世界生活……なんとか、なるのかなあ……?
なんとか異世界で生活してたら、今度は犬を助けたと思ったらドラゴン?
契約したらチート能力?
異世界で俺は何かをしたいとは思っていたけど、色々と盛り過ぎじゃないかな?
ちょっと待って、このドラゴン凄いモフモフじゃない?
平凡で何となく生きていたモフモフ好きな学生が異世界転移でドラゴンや神様とあれやこれやしていくお話し。
基本シリアス少な目、モフモフ成分有りで書いていこうと思います。
女性キャラが多いため、様々なご指摘があったので念のため、タグに【ハーレム?】を追加致しました。
9/18よりエルフの出るお話になりましたのでタグにエルフを追加致しました。
1話2800文字~3500文字以内で投稿させていただきます。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させて頂いております。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです
珠宮さくら
ファンタジー
前世の祖母にように花に囲まれた生活を送りたかったが、その時は母にお金にもならないことはするなと言われながら成長したことで、母の言う通りにお金になる仕事に就くために大学で勉強していたが、彼女の側には常に花があった。
老後は、祖母のように暮らせたらと思っていたが、そんな日常が一変する。別の世界に子爵家の長女フィオレンティーナ・アルタヴィッラとして生まれ変わっても、前世の祖母のようになりたいという強い憧れがあったせいか、前世のことを忘れることなく転生した。前世をよく覚えている分、新しい人生を悔いなく過ごそうとする思いが、フィオレンティーナには強かった。
そのせいで、貴族らしくないことばかりをして、家族や婚約者に物凄く嫌われてしまうが、思わぬ方面には物凄く好かれていたようだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる