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ディーラスを目指して
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「さぁ、飲み給え。
酒は嫌いじゃないんだろ?」
ダルシャは自らがグラスにワインを注ぎ、にこやかな顔でブライアンにすすめる。
「あ…ありがとうございます。」
ブライアンは緊張した顔を無理に笑顔に変えながら、ダルシャのすすめたワインを口にしダルシャも同じようにワインを流しこんだ。
「それで、話なんだが…」
「あの…どこかで…」
「あ……」
「あっ」
二度も同時に声が重なったことで、二人は顔を見合わせ頬を緩める。
「じゃあ、私の方から話させていただこう。
……単刀直入に聞かせてもらが、君は願い石を探しているのだろう?」
「なぜ、そのことを…!」
穏やかになりかけていたブライアンの顔がその一言で再び強張ったものに戻った。
「実は、この大陸に着いてすぐの港町で遊びに行ったんだが…
その晩、私の相手をした女性が、数日前に君の相手をしたらしく、君の話をしてくれたんだ。
最初は、ものすごい占い師がいるという話からだった。
まるで、自分のことをずっとどこかから観察されてるみたいだったって、彼女は本当に驚いていたよ。
そのうちに、君が願い石を探していることを知り、それと同時に君がディーラスに向かっていることを知った。」
「……なるほど、そういうことでしたか。
つまり、あなたも願い石を探されている……」
「その通りだ。」
「それで僕のことを……」
ブライアンは、ダルシャの言葉に大きく頷いた。
「私達はすぐにディーラスへ向かって出発した。
行く先々で君の足跡をみつけたがなかなか追いつく事は出来なかった。
私達がヘイレンに着いた時、宿の主人に君らしい人が昨夜宿に泊まり、そして今朝発ったと言われた時は胸が高鳴ったよ。
私達の仲間は、次の日、すぐにディーラスに向かったんだが、私は別の仲間とヘイレンで落ち合うことになっていたから残ったんだ。
だが、仲間はなかなか来ない。
そのうちにどうにも気持ちが苛々して来たので、この町に遊びに来たわけなんだが、まさかこんな所で君に会えるなんて思ってもみなかった。
なぜ、君はこんな所にいるんだ?
ディーラスへはなぜ向かわなかった?」
ダルシャの言葉にブライアンは苦い笑みを浮かべ、ワインを自分のグラスに注ぎ入れる。
「……つまらない話ですが、聞いていただけますか?」
「あぁ、ぜひ話してくれたまえ。」
「さぁ、飲み給え。
酒は嫌いじゃないんだろ?」
ダルシャは自らがグラスにワインを注ぎ、にこやかな顔でブライアンにすすめる。
「あ…ありがとうございます。」
ブライアンは緊張した顔を無理に笑顔に変えながら、ダルシャのすすめたワインを口にしダルシャも同じようにワインを流しこんだ。
「それで、話なんだが…」
「あの…どこかで…」
「あ……」
「あっ」
二度も同時に声が重なったことで、二人は顔を見合わせ頬を緩める。
「じゃあ、私の方から話させていただこう。
……単刀直入に聞かせてもらが、君は願い石を探しているのだろう?」
「なぜ、そのことを…!」
穏やかになりかけていたブライアンの顔がその一言で再び強張ったものに戻った。
「実は、この大陸に着いてすぐの港町で遊びに行ったんだが…
その晩、私の相手をした女性が、数日前に君の相手をしたらしく、君の話をしてくれたんだ。
最初は、ものすごい占い師がいるという話からだった。
まるで、自分のことをずっとどこかから観察されてるみたいだったって、彼女は本当に驚いていたよ。
そのうちに、君が願い石を探していることを知り、それと同時に君がディーラスに向かっていることを知った。」
「……なるほど、そういうことでしたか。
つまり、あなたも願い石を探されている……」
「その通りだ。」
「それで僕のことを……」
ブライアンは、ダルシャの言葉に大きく頷いた。
「私達はすぐにディーラスへ向かって出発した。
行く先々で君の足跡をみつけたがなかなか追いつく事は出来なかった。
私達がヘイレンに着いた時、宿の主人に君らしい人が昨夜宿に泊まり、そして今朝発ったと言われた時は胸が高鳴ったよ。
私達の仲間は、次の日、すぐにディーラスに向かったんだが、私は別の仲間とヘイレンで落ち合うことになっていたから残ったんだ。
だが、仲間はなかなか来ない。
そのうちにどうにも気持ちが苛々して来たので、この町に遊びに来たわけなんだが、まさかこんな所で君に会えるなんて思ってもみなかった。
なぜ、君はこんな所にいるんだ?
ディーラスへはなぜ向かわなかった?」
ダルシャの言葉にブライアンは苦い笑みを浮かべ、ワインを自分のグラスに注ぎ入れる。
「……つまらない話ですが、聞いていただけますか?」
「あぁ、ぜひ話してくれたまえ。」
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