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ディーラスを目指して
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「……傷のことは気にするなって言ってるだろ?
だいたい、山に行ったってどれがその薬草かわからないだろ?」
「フレイザー、俺は山ん中で育ったんだ。
だいたいのものならわかる。」
「……あ、そうだったのか……」
「傷に効く薬草は何種類かみつけたけど、傷を消す薬にどの薬草を使うのかがわからなかった。
山に住んでた頃、俺はまだ子供だったから調合の仕方を知らないんだ。
ただ、それが何に効く薬草かわかるだけで山に入るなんて本当に馬鹿だった…
そんなことより、フレイザー……どうして…どうして俺のことをかばってくれたんだ!?
運良く助けが来てくれたから良かったようなものの、あのままだったらきっと…
俺なんか助けたって何も良いことなんてないのに、どうして……!」
今にもこぼれ落ちそうな涙で潤んだ瞳で、ジャックはフレイザーをじっとみつめる。
「ジャック……
俺、以前言ったよな。
どんなことがあったって、おまえを守るって。
……俺は、一度決めたことは滅多なことじゃ覆さない…それだけのことだ。」
「だから、どうしてそんなこと決めるんだ!
俺なんか守ったって何ひとつ得なんてしない。
それどころか、あんたは俺のせいで酷い目にあってばっかりだし、それに……俺はあんたに何も恩返し出来ないのに、なんで……」
ジャックが拳を握り締めたのと同時に、大粒の涙がぽとんと零れ落ちた。
「ジャック…俺は損得なんて考えちゃいない。
ただ、そんなに俺に恩を感じてくれてるなら…
俺のことを信じてくれ。
今よりもずっと俺のことを信じて……心を開いて欲しいんだ。」
予想もしてなかったフレイザーの言葉に、ジャックの顔は戸惑った表情に変わった。
「今まで黙ってたけど…ジャック…
実は俺……おまえの秘密を知ってしまったんだ…
ほら…おまえ、夜中にこっそり温泉に行ったことがあっただろ?
あの時、心配でついていってそれで、その…」
その話を聞いたジャックの顔がみるみるうちに赤く染まっていき、熟したトマトのように真っ赤に色付き、その様子にフレイザーは決まり悪そうに俯いた。
だいたい、山に行ったってどれがその薬草かわからないだろ?」
「フレイザー、俺は山ん中で育ったんだ。
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「……あ、そうだったのか……」
「傷に効く薬草は何種類かみつけたけど、傷を消す薬にどの薬草を使うのかがわからなかった。
山に住んでた頃、俺はまだ子供だったから調合の仕方を知らないんだ。
ただ、それが何に効く薬草かわかるだけで山に入るなんて本当に馬鹿だった…
そんなことより、フレイザー……どうして…どうして俺のことをかばってくれたんだ!?
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今にもこぼれ落ちそうな涙で潤んだ瞳で、ジャックはフレイザーをじっとみつめる。
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……俺は、一度決めたことは滅多なことじゃ覆さない…それだけのことだ。」
「だから、どうしてそんなこと決めるんだ!
俺なんか守ったって何ひとつ得なんてしない。
それどころか、あんたは俺のせいで酷い目にあってばっかりだし、それに……俺はあんたに何も恩返し出来ないのに、なんで……」
ジャックが拳を握り締めたのと同時に、大粒の涙がぽとんと零れ落ちた。
「ジャック…俺は損得なんて考えちゃいない。
ただ、そんなに俺に恩を感じてくれてるなら…
俺のことを信じてくれ。
今よりもずっと俺のことを信じて……心を開いて欲しいんだ。」
予想もしてなかったフレイザーの言葉に、ジャックの顔は戸惑った表情に変わった。
「今まで黙ってたけど…ジャック…
実は俺……おまえの秘密を知ってしまったんだ…
ほら…おまえ、夜中にこっそり温泉に行ったことがあっただろ?
あの時、心配でついていってそれで、その…」
その話を聞いたジャックの顔がみるみるうちに赤く染まっていき、熟したトマトのように真っ赤に色付き、その様子にフレイザーは決まり悪そうに俯いた。
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