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ディーラスを目指して
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「や、やめろーーー!」
ジャックが力一杯叫んだ声は、フレイザーの雄叫びと異変を感じたガリオンの群れの喧騒にかき消された。
フレイザーがようやく目にしたガリオンは、小型の犬に似た魔物だった。
茶色い毛羽立った体毛はみるからに固そうで、興奮しているのか小さいが鋭い牙をむき出している。
突然現れたフレイザーに怖れをなして逃げる者も多かったが、それでもその場を離れず、フレイザーに立ち向かおうとする者も少なくなかった。
その者達は強靭な後ろ足のバネを使ってフレイザーに飛びつき体あたりをくらわし、さらに噛みついたりひっかいたりを繰り返す。
フレイザーは、ジャックの登った木の傍で群がるガリオンをなぎ倒しながら、ジャックに向かって大きな声で叫ぶ。
「ジャック、急げ!今のうちに逃げるんだ!」
「フレイザー!く、来るなーーー」
ジャック声はか細いもので、すぐ傍から聞こえるガリオンの鳴き声やフレイザーと争う物音に怯え、木の下に降りることが出来ないでいた。
「ジャック、何をしてるんだ!
早く!早く降りて逃げるんだ!」
懸命にガリオンの攻撃をかわしながら、フレイザーは声を上げるが、それに対するジャックからの返答はなかった。
「ジャック!はや…あっ!」
フレイザーの手がすべり、持っていたランプがその手を離れ、近くで乾いた音がしたのと共に一瞬小さな火柱があがった。
ガリオン達は驚いて騒がしい鳴き声をあげ、四方八方でたらめに逃げ惑う。
「ジャック、さぁ!」
しつこく足に噛みつく数匹のガリオンをぶらさげながら、フレイザーは木の上のジャックに手を伸ばした。
「フレイザー、なんでこんな…」
「そんなことは後だ、とにかく……」
あたりが急激に暗くなったことに気付いて、フレイザーが目を向けると、ランプの火は今にも消えそうに小さくなっていた。
「ジャック、まずいぞ。
火が消えたら、あいつらまた集まって来るかもしれない。
今のうちに逃げよう!」
「そんなこと無理だ…
奴らはすばしっこいし……あーっ!」
渋るジャックの腕をひっぱり、フレイザーはその身体を抱き止めた。
「おまえは何も心配しなくて良い。
俺が必ずおまえを守る。
さぁ、行くぞ!」
フレイザーはジャックに有無を言わせぬ勢いで背中に担ぐと、闇の中を走り出した。
ジャックが力一杯叫んだ声は、フレイザーの雄叫びと異変を感じたガリオンの群れの喧騒にかき消された。
フレイザーがようやく目にしたガリオンは、小型の犬に似た魔物だった。
茶色い毛羽立った体毛はみるからに固そうで、興奮しているのか小さいが鋭い牙をむき出している。
突然現れたフレイザーに怖れをなして逃げる者も多かったが、それでもその場を離れず、フレイザーに立ち向かおうとする者も少なくなかった。
その者達は強靭な後ろ足のバネを使ってフレイザーに飛びつき体あたりをくらわし、さらに噛みついたりひっかいたりを繰り返す。
フレイザーは、ジャックの登った木の傍で群がるガリオンをなぎ倒しながら、ジャックに向かって大きな声で叫ぶ。
「ジャック、急げ!今のうちに逃げるんだ!」
「フレイザー!く、来るなーーー」
ジャック声はか細いもので、すぐ傍から聞こえるガリオンの鳴き声やフレイザーと争う物音に怯え、木の下に降りることが出来ないでいた。
「ジャック、何をしてるんだ!
早く!早く降りて逃げるんだ!」
懸命にガリオンの攻撃をかわしながら、フレイザーは声を上げるが、それに対するジャックからの返答はなかった。
「ジャック!はや…あっ!」
フレイザーの手がすべり、持っていたランプがその手を離れ、近くで乾いた音がしたのと共に一瞬小さな火柱があがった。
ガリオン達は驚いて騒がしい鳴き声をあげ、四方八方でたらめに逃げ惑う。
「ジャック、さぁ!」
しつこく足に噛みつく数匹のガリオンをぶらさげながら、フレイザーは木の上のジャックに手を伸ばした。
「フレイザー、なんでこんな…」
「そんなことは後だ、とにかく……」
あたりが急激に暗くなったことに気付いて、フレイザーが目を向けると、ランプの火は今にも消えそうに小さくなっていた。
「ジャック、まずいぞ。
火が消えたら、あいつらまた集まって来るかもしれない。
今のうちに逃げよう!」
「そんなこと無理だ…
奴らはすばしっこいし……あーっ!」
渋るジャックの腕をひっぱり、フレイザーはその身体を抱き止めた。
「おまえは何も心配しなくて良い。
俺が必ずおまえを守る。
さぁ、行くぞ!」
フレイザーはジャックに有無を言わせぬ勢いで背中に担ぐと、闇の中を走り出した。
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