夢の硝子玉

ディーラスを目指して

２３

＊



 「では、皆、くれぐれも無理をせぬようにな。
 私もフレイザー達が来たらすぐにそちらに向かうが、万一の時には、エリオットが……」

 「あぁぁぁ…
昨夜から何度同じことをいえば済むんだ。
もう耳にたこが出来た。
さ、セリナ、エリオット行くぜ！」

そう言ってさっさと歩き出したラスターの後を、セリナとエリオットがついていく。
 何度かダルシャの方を振り返り、手を振りながら…



（……心配だ。
 私がいなくて本当に大丈夫だろうか…）



 部屋に戻ったダルシャは、窓辺からぼんやりと遠くの景色を眺める。



 （フレイザー、早く来てくれよ！）

ダルシャは心の中でそう呟いた。



 ＊



 「セリナ、ディーラスまではどれくらいかかるんだろう？」

 「確か、歩いて三、四日ってことだったわよ。
ディーラスまでにはいくつか小さな町があるようだから、もしかしたらそのうちのどこかでブライアンに会えるかもしれないわね。」

 「そうだったな。ブライアンとの差はほんの少しなんだ。
 今日は少し頑張って追いつこうぜ！」

ラスターの声には気合いがこもっていた。
セリナとエリオットも、その言葉に大きく頷く。



 「だったら、久し振りに僕の魔法で飛んで行かない？」

 「大丈夫なの？」

 「三人なら全然大丈夫だよ。」

エリオットは親指を立てて微笑んだ。



 「だけど、三人が乗れる何かを探さなきゃならないし、だったら次の町でそういうものを探してからにした方が良いんじゃないか？
 今日はとにかく急いで次の町まで移動しようぜ。」

 「それもそうね！
じゃ、頑張って歩きましょう！」

 三人はいつものように無駄話をすることもなく、ただ黙々と歩き続けた。