夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ディーラスを目指して

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(なんでだ…
なんで、俺はこういつもフレイザーを困らせることばかり言ってしまうんだ…)



フレイザーのためになることをしたいと考えてるはずなのに、いつも逆のことをしてしまう。
そのことが自分でも悔しく、コントロール出来ない感情に、ジャックは打ちのめされていた。



 (俺は…フレイザーに恩を返したいだけなんだ。
それ以上のことなんて考えちゃいない。
 幸せになることだって…
 ……俺にはそんなこと、絶対に無理なんだから…
占い師は言った。
 銀色の髪の人間が俺の願いを叶えてくれるって…それは確かに当たってるんだと思う。
セリナと一緒にいれば、俺はきっと願い石をみつけることが出来て、そしてあの願いが叶えられるんだ。
でも、そうしたら……)



ジャックは、あてもなく通りをぶらつきながら、心の中で自分の気持ちと向き合う。
 向き合えば向き合う程に、幸せになれないという悲観的な想いが、ジャックの胸の中に広がっていった。



 *



 (あいつ…一体どこに行ったんだ?)

しばらく一人にしてやった方が良いかと考えたフレイザーだったが、夜も更けるにつれ、なかなか戻らないジャックが心配になり、堪えきれずに立ち上がった。
ちょうどその時、廊下を近付いて来る足音が響き、扉が開いてジャックが部屋に戻った。



 「ジャック…散歩にしてはえらく遅いじゃないか。」

フレイザーは心の中の苛立ちを押し隠し、冷静に声をかけた。



 「あぁ…ちょっと町の中を見て来たんだ。
フレイザー、セリナ達のことがわかったぜ。
あの髪だから、聞いたらすぐにわかったよ。
セリナ達は、こことは違うもう一軒の宿屋に泊まってた。
 一週間程前に一泊して、次の朝すぐに出発したらしい。」

 「そうか…一週間じゃ、とてもじゃないけど追い付けそうにないな。
 俺達が着く頃には、もう願い石がみつかってるかもしれないぞ。
 明日からはゆっくり行くことにするか。
そんなことより、ジャック……今日は疲れただろう。
 夜も更けてきたし、言い加減、休んだ方が良いぞ。」

 「あぁ、そうするよ。」

 部屋を出て行った時とは違い、とても穏やかに答えるジャックにフレイザーは安心し、ほっと胸を撫で下ろした。
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