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ディーラスを目指して
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「それはそうと…今頃、みんなどのあたりだろうな?」
「……フレイザーはいつも仲間のことばっかり気にしてるんだな。
ま、俺なんかと一緒じゃ楽しくないのはわかるけどさ…」
「ジャック…
俺はなにもそんな……」
「……ごめん……俺、いつもこんなことばっかり……」
俯いて唇を噛むジャックの肩を、フレイザーは軽く叩いた。
「気にすんなって。
以前のおまえだったら、もっと怒ってただろ?
だけど、おまえは今謝ってくれた…
おまえ、自分で気付いてるかどうかわからないけど、最近本当に変わって来たよ。
もちろん良い方にな。」
「俺が…変わった?」
フレイザーは深く頷き、ジャックに向かって優しく微笑む。
「自分を変えるってことは難しいことだぞ。
だから、急になんて誰にも出来る筈ないんだ。
でも、諦めずに少しずつでも変えていけば、いつか、別人みたいに変わってることだってあると思うんだ。」
「別人みたいに……」
「そうだ…ジャック、覚えてるか?
俺と初めて会った時のこと…
あの時のおまえと今のおまえとじゃ、すでにもうずいぶん変わってる。
だけど、おまえはこれからもっと変わると思う。」
「……フレイザー…変わったら、どうなる?
人は変わったら、何がどうなるんだ?」
フレイザーはジャックのその問いに、少し驚いた表情を浮かべた。
「……そうだな。
きっと、幸せになれると思う。」
「幸せに…?
変わっただけで、幸せになれるっていうのか?」
「その通りだ。
自分が変わると、自分に関わる人や環境が変わって来る。
たとえば、悪事ばっかり働いてる奴の友達はどうだ?
やっぱり、そういうことをする奴ばかりが集まるだろう?
陽の当らない場所には、日差しがなくても育つ植物が育ち、明るい場所には陽の光を好む植物が育つ。
それと同じ事だと思うんだ。
おまえは、今、少しずつ陽のあたる場所へ向かってると思う。
これから先、もっといろんな人と知り合って……」
「お、俺は、そんなこと望んでない!」
フレイザーの話は、ジャックの感情的な声にかき消された。
「ジャック…どうしたんだ?」
「俺は……俺は、もう誰とも……」
「……わかった。
つまらないことを言ってすまなかったな。」
「なんでだよ!
フレイザーが悪いわけじゃないのに、なんでそんなこと言うんだよ!」
なにも答えず、フレイザーはただジャックをみつめていた。
ジャックは、その視線を逸らして俯いた。
「俺、ちょっと散歩して来る…」
そう言い残し、ジャックは部屋を後にした。
「それはそうと…今頃、みんなどのあたりだろうな?」
「……フレイザーはいつも仲間のことばっかり気にしてるんだな。
ま、俺なんかと一緒じゃ楽しくないのはわかるけどさ…」
「ジャック…
俺はなにもそんな……」
「……ごめん……俺、いつもこんなことばっかり……」
俯いて唇を噛むジャックの肩を、フレイザーは軽く叩いた。
「気にすんなって。
以前のおまえだったら、もっと怒ってただろ?
だけど、おまえは今謝ってくれた…
おまえ、自分で気付いてるかどうかわからないけど、最近本当に変わって来たよ。
もちろん良い方にな。」
「俺が…変わった?」
フレイザーは深く頷き、ジャックに向かって優しく微笑む。
「自分を変えるってことは難しいことだぞ。
だから、急になんて誰にも出来る筈ないんだ。
でも、諦めずに少しずつでも変えていけば、いつか、別人みたいに変わってることだってあると思うんだ。」
「別人みたいに……」
「そうだ…ジャック、覚えてるか?
俺と初めて会った時のこと…
あの時のおまえと今のおまえとじゃ、すでにもうずいぶん変わってる。
だけど、おまえはこれからもっと変わると思う。」
「……フレイザー…変わったら、どうなる?
人は変わったら、何がどうなるんだ?」
フレイザーはジャックのその問いに、少し驚いた表情を浮かべた。
「……そうだな。
きっと、幸せになれると思う。」
「幸せに…?
変わっただけで、幸せになれるっていうのか?」
「その通りだ。
自分が変わると、自分に関わる人や環境が変わって来る。
たとえば、悪事ばっかり働いてる奴の友達はどうだ?
やっぱり、そういうことをする奴ばかりが集まるだろう?
陽の当らない場所には、日差しがなくても育つ植物が育ち、明るい場所には陽の光を好む植物が育つ。
それと同じ事だと思うんだ。
おまえは、今、少しずつ陽のあたる場所へ向かってると思う。
これから先、もっといろんな人と知り合って……」
「お、俺は、そんなこと望んでない!」
フレイザーの話は、ジャックの感情的な声にかき消された。
「ジャック…どうしたんだ?」
「俺は……俺は、もう誰とも……」
「……わかった。
つまらないことを言ってすまなかったな。」
「なんでだよ!
フレイザーが悪いわけじゃないのに、なんでそんなこと言うんだよ!」
なにも答えず、フレイザーはただジャックをみつめていた。
ジャックは、その視線を逸らして俯いた。
「俺、ちょっと散歩して来る…」
そう言い残し、ジャックは部屋を後にした。
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