夢の硝子玉

ディーラスを目指して

１８

＊



 （……呪いじゃないとしたら、やっぱり病気なのかなぁ…）



フレイザーはその後もそれとなく呪いや魔法の話をしたが、ジャックは一向にその話に動揺する素振りは見せなかった。
 自分の推測が見当はずれだったことに気付いたフレイザーは、あらためてジャックの病気について不安を募らせる。



 （そうだよなぁ…
俺は元々医学に詳しい方じゃない。
もしかしたら、全く知らなかっただけで、俺達の世界にもこういう病気はあるのかもしれない。
ホルモンの異常か何かか？
 原因はともかく、難病であることは間違いないよな…
よくある病気ではないことは確かだと思う…
可哀想にジャックの奴……いつから発病したのかはわからないが、きっと急にあんな風になったんじゃないだろう…
長い時間をかけてちょっとずつ変化していったんじゃないだろうか…
その間、きっとあいつは誰にもそのことを言えず、今までずっと一人で苦しんできたんだろうな。）




 「……フレイザー、どうかしたのか？」

 「え…！？い、いや、なんでもない。
うん、なんでもない。」



 話を聞きたい。
 心のうちを吐き出させてジャックの気持ちを少しでも軽くしてやりたい…
そうは思いながらも、こんなに重大な問題をどんな風に切り出せば、ジャックが傷付かずに聞き出すことが出来るのか…その方法がフレイザーには思いつかず、そのことが余計にフレイザーをもどかしい気持ちにさせた。



 （ジャック…俺はおまえの味方だ。
 必ず、おまえのその身体を治してみせるからな！
そのためにも、願い石をみつけなきゃな…！）



フレイザーは、密かに心の中で決意を固め、ゆっくりと頷いた。