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ディーラスを目指して
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「あぁ、それなんだけど…
なんでも、あいつ、以前、魔法使いといろいろあったらしくって…
その魔法使いに結婚してほしいって言われて、それをを断ったせいで呪いをかけられたらしいんだ。
その呪いっていうのが、ちょっとおかしくてさ…
ねず……じゃない…ナジュカを見たら、ダルシャはなんと猫男に変身するんだ!」
「猫男…?」
ジャックは、ポカンとした様子でフレイザーの言葉を繰り返す。
「そうなんだ。
大きな耳が生えて、しっぽが生えて…
顔には長いヒゲまで生えて来るんだ。
ダルシャって、元が二枚目だろ?
だから、そのギャップがおかしくってさ…」
フレイザーは、猫男に変わったダルシャの姿を思い出し、込みあがる笑いを噛み殺すのに懸命だった。
「で、ダルシャに呪いをかけた魔法使いは、それを解いてくれないのか?
それとも、ダルシャが頭を下げるのをいやがってるのか?」
「それが、運の悪い事にその魔法使いは死んだらしいんだ。
だから、解いてもらうことが出来ず、願い石を探してるってことなんだ。」
「……なるほど。
いくら名門貴族のお坊っちゃまでも、どんなに金があってもどうしようも出来ないってことなんだな。
でも、元はといえば自業自得なわけだし、セリナの問題とは月とすっぽんだな。」
冷たい口調でそう言って、ジャックは失笑する。
(……おかしいな。
まぁ、理由は違うだろうが、呪いをかけられたって点ではジャックだってダルシャとは似たような立場なんだし、もっと何か大きな反応を見せるかと思ったんだけどな…)
「と、とにかくだな。
願い石さえみつかれば、呪いなんてたいしたことじゃない。
ダルシャみたいに、術をかけた魔法使いが死んだとしても、願い石さえみつければそれでなんとかなるんだ。
だから、呪いなんて心配はないってことだ。」
フレイザーは、殊更に「呪い」という言葉を強調して話す。
それはもちろんジャックを安心させるための行為だった。
「ま、そういうことだな。」
しかし、フレイザーの想いとは裏腹に、話を聞いても特にほっとした様子のないジャックの反応に、フレイザーは小さく首を傾げた。
なんでも、あいつ、以前、魔法使いといろいろあったらしくって…
その魔法使いに結婚してほしいって言われて、それをを断ったせいで呪いをかけられたらしいんだ。
その呪いっていうのが、ちょっとおかしくてさ…
ねず……じゃない…ナジュカを見たら、ダルシャはなんと猫男に変身するんだ!」
「猫男…?」
ジャックは、ポカンとした様子でフレイザーの言葉を繰り返す。
「そうなんだ。
大きな耳が生えて、しっぽが生えて…
顔には長いヒゲまで生えて来るんだ。
ダルシャって、元が二枚目だろ?
だから、そのギャップがおかしくってさ…」
フレイザーは、猫男に変わったダルシャの姿を思い出し、込みあがる笑いを噛み殺すのに懸命だった。
「で、ダルシャに呪いをかけた魔法使いは、それを解いてくれないのか?
それとも、ダルシャが頭を下げるのをいやがってるのか?」
「それが、運の悪い事にその魔法使いは死んだらしいんだ。
だから、解いてもらうことが出来ず、願い石を探してるってことなんだ。」
「……なるほど。
いくら名門貴族のお坊っちゃまでも、どんなに金があってもどうしようも出来ないってことなんだな。
でも、元はといえば自業自得なわけだし、セリナの問題とは月とすっぽんだな。」
冷たい口調でそう言って、ジャックは失笑する。
(……おかしいな。
まぁ、理由は違うだろうが、呪いをかけられたって点ではジャックだってダルシャとは似たような立場なんだし、もっと何か大きな反応を見せるかと思ったんだけどな…)
「と、とにかくだな。
願い石さえみつかれば、呪いなんてたいしたことじゃない。
ダルシャみたいに、術をかけた魔法使いが死んだとしても、願い石さえみつければそれでなんとかなるんだ。
だから、呪いなんて心配はないってことだ。」
フレイザーは、殊更に「呪い」という言葉を強調して話す。
それはもちろんジャックを安心させるための行為だった。
「ま、そういうことだな。」
しかし、フレイザーの想いとは裏腹に、話を聞いても特にほっとした様子のないジャックの反応に、フレイザーは小さく首を傾げた。
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