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ディーラスを目指して
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「ジャック、おまえ、何かの病気なのか?」
フレイザーの率直なその問いに、ジャックは何も答えず何の反応も見せなかった。
「……すまなかった。
俺…なにも知らなくて…」
「……俺も誰にも話したことないよ。」
「ジャック…それはどんな病気なんだ?
医者には診てもらってるのか?
どの程度悪いんだ?」
真剣な顔をして矢継ぎ早に質問を投げかけるフレイザーを、ジャックはじっとみつめ、やがて俯いて小さく肩を震わせた。
「フレイザー…嘘だよ。
俺、病気なんかじゃないよ。
ただ、ちょっと身体が弱いだけだから…」
笑いながらそう言うジャックに、フレイザーは呆気に取られた顔で声を上げた。
「……おまえなぁ…
脅かすなよ!
本気で心配しただろう!」
フレイザーはジャックの髪をぐしゃぐしゃと乱暴に撫でまわす。
「やめろよ!フレイザー!」
ジャックはフレイザーの手を振り払いながらも、その顔はどこか楽しそうな笑みを浮かべていた。
「おまえがそんなくだらない嘘吐くから悪いんだぞ!
それにしてもおまえの髪、本当にやわらかいな。
まるで動物の毛みたいだ。」
「……やめろって!」
ジャックの顔が急に強張ったものに変わり、フレイザーを振り払って立ち上がる。
「俺、まだやることがあるから…」
ジャックはフレイザーに背を向け、そう言って荷物の整理に戻った。
(ジャック…急にどうしたんだ?
……やっぱり、病気のことは嘘なんかじゃないよな…
あんな風に誤魔化すなんて…もしかしたら相当悪い病気なんだろうか…)
「そっか…じゃあ、無理しないようにな。
俺、先に寝かせてもらうよ。
おやすみ、ジャック。」
「おやすみ。」
フレイザーは、ジャックに本当のことを聞きたい衝動をじっと堪え、何もなかったような顔をしてそのままベッドに潜りこんだ。
フレイザーの率直なその問いに、ジャックは何も答えず何の反応も見せなかった。
「……すまなかった。
俺…なにも知らなくて…」
「……俺も誰にも話したことないよ。」
「ジャック…それはどんな病気なんだ?
医者には診てもらってるのか?
どの程度悪いんだ?」
真剣な顔をして矢継ぎ早に質問を投げかけるフレイザーを、ジャックはじっとみつめ、やがて俯いて小さく肩を震わせた。
「フレイザー…嘘だよ。
俺、病気なんかじゃないよ。
ただ、ちょっと身体が弱いだけだから…」
笑いながらそう言うジャックに、フレイザーは呆気に取られた顔で声を上げた。
「……おまえなぁ…
脅かすなよ!
本気で心配しただろう!」
フレイザーはジャックの髪をぐしゃぐしゃと乱暴に撫でまわす。
「やめろよ!フレイザー!」
ジャックはフレイザーの手を振り払いながらも、その顔はどこか楽しそうな笑みを浮かべていた。
「おまえがそんなくだらない嘘吐くから悪いんだぞ!
それにしてもおまえの髪、本当にやわらかいな。
まるで動物の毛みたいだ。」
「……やめろって!」
ジャックの顔が急に強張ったものに変わり、フレイザーを振り払って立ち上がる。
「俺、まだやることがあるから…」
ジャックはフレイザーに背を向け、そう言って荷物の整理に戻った。
(ジャック…急にどうしたんだ?
……やっぱり、病気のことは嘘なんかじゃないよな…
あんな風に誤魔化すなんて…もしかしたら相当悪い病気なんだろうか…)
「そっか…じゃあ、無理しないようにな。
俺、先に寝かせてもらうよ。
おやすみ、ジャック。」
「おやすみ。」
フレイザーは、ジャックに本当のことを聞きたい衝動をじっと堪え、何もなかったような顔をしてそのままベッドに潜りこんだ。
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