夢の硝子玉

四つ目の大陸

４７

「まぁ、そういうことだな。
 私達は、生まれも育ちも年齢もそれぞれ違う。
しかし、縁があって知り合い、ここまで一緒に旅をして来た仲間じゃないか。
これから先いくつの願い石がみつかり、誰の願いが叶うかはわからないが、解散の時まで皆で一緒にやって行こうじゃないか。」

そう言うと、ダルシャはワイングラスを持ちあげた。



 「これからの旅の無事を祈って乾杯しよう！」

 「ダルシャ、今日はフレイザーの退院祝いだろ！」

ジャックは、ダルシャを厳しい視線で睨み付ける。



 「そ、そうだったな。
すまない、フレイザー。
では、フレイザーの退院に乾杯！」

ダルシャの言葉に、皆、テーブルのグラスを慌てて手に取った。



 「ありがとう！
それと、この素晴らしい出会いに乾杯だな！」

 「あ、そうだ！
セリナのお母さんの無事にも乾杯しようよ！」

エリオットの言葉に、セリナは嬉しそうに微笑んだ。



 「だったら、エリオットが生きてたことにもな！」

ラスターはそう言って、エリオットの隣に寄り添う。



 「そして、新しい仲間、ジャックの参加にも乾杯しよう！」

ダルシャの言葉に、ジャックは俯きそっと目を伏せる。
その時、不意にフレイザーの腕がジャックの華奢な肩に回された。



 「皆、よろしく頼むな。
ちょっと困った奴だけど…根は悪い奴じゃない。
……ラスター、もうこいつと喧嘩はしないでくれよな。
こいつ、身体もあんまり丈夫じゃないし…」

 「そ、そんなこと関係ないだろ！
 俺に同情するな！」

ジャックは、フレイザーの手を振り解き、食ってかかる。



 「俺は別に同情なんて…」

 「ジャック…フレイザーを困らせちゃいけないわ。
ね、今日はお祝なんだから、そんな顔しちゃ駄目！」

セリナに諌められ、ジャックは決まりの悪い顔で俯きそのまま黙りこんだ。