夢の硝子玉

四つ目の大陸

４０

「教えてくれ、エリオット！俺はどうしたら良い？
フレイザーに、何をしてやれば喜んでもらえるんだ？」

 「それは……」

エリオットは、一呼吸吐くとジャックに向かってにっこりと微笑んだ。



 「今のままで良いと思うよ。
フレイザーのことを大切に想うだけで…それだけで良いと思う。」

 「だ、駄目だ、そんなんじゃ！
 俺だってフレイザーになにかお礼を…」

エリオットは微笑んだままでジャックの手を取り握り締めた。



 「……ジャック、そうじゃないんだ。
お礼なんてすぐにしなくても良いことなんだよ。
 普段からその人のことを大切に想ってたら、きっといつかその人の力になれる時があると思うんだ。
なにをしてあげたらその人が一番喜んでくれるかもきっとわかるようになると思う。
……だからね、誰かを大切に想うことが一番重要なことなんじゃないかって……僕はそう思うんだ。」

 「エリオット……」

 穴の開くほどまじまじとジャックにみつめられ、エリオットは頬をほんのりと赤らめた。



 「ジャック、どうしたの？
そんなにみつめないでよ。」

 「エリオット…おまえは本当にしっかりしてるんだな。
 俺なんかよりずっと強いし、いろんなことがわかってるんだな…
俺も……俺も少しは優しくなれると思うか？
いつかフレイザーに喜んでもらえるようなことが出来るようになれると思うか？」

ジャックは真剣な眼差しでエリオットをみつめ、その両腕を掴んで問い詰める。



 「う、うん、もちろんだよ。
きっとなれるよ。」

ジャックの激しい気迫に押されながら、エリオットは何度も頷いた。