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四つ目の大陸
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「そっか。
だから、フレイザーは君にとっては特別な人なんだね…」
「……エリオット…フレイザーはなんで俺に優しくしてくれたんだろう?」
「え…?」
思いがけないジャックの問いかけに、エリオットは戸惑い、おかしな声を出す。
「船の中でも俺はフレイザーにはあんなに酷い態度を取ったのに…それでも、あいつは俺のことを見捨てなかった。
俺…本当はそのことがすごく嬉しかったんだ。
それに、今度のことだって……
一歩間違えれば死んでたかもしれないのに、フレイザーは…
エリオット、俺にはわからないんだ。
なんで、フレイザーがそこまでしてくれるのか…」
ジャックは俯いたまま、困惑した声を出した。
「うん…彼は、ちょっと変わった所もあるけど優しい人だから……」
「優しい…?
……それは俺に同情してるってことか?
俺が弱い人間だから…」
エリオットは、黙ったままで首を振る。
「僕もうまくは言えないけど、同情とは違うと思うよ。
……なんて言ったら良いんだろ?
持ち前の性格…なのかな?
彼は、困ってる人がいたらそれを見過ごせないんだよ。
自分の出来る精一杯のことをしようと考える人なんだよ。」
「だから、それは同情とはどう違うんだ!?」
ジャックは苛立った声を上げ、その声は静かな廊下に思いがけず大きく響き、気まずそうな顔をして再び俯いた。
「……そうだね。
たとえば……うん、そうだ。
もしも、君が誰か可哀想な人を見たらどうする?」
「俺はなにもしない。」
「可哀想だとも思わないの?」
「そりゃあ…可哀想だとは思うかもしれないけど、俺には関係のないことだ。」
「フレイザーはね……関係無いって思わないんだよ。
自分に少しでもなにかしてあげられることがあれば、手を差しのばす。
ちょっとでもその人が良い状態になれるまで、彼は頑張るんだ。
……僕は、もしかしたら、それが、彼の『優しさ』なんじゃないかって思うんだけど…違うかな…?」
そう言って上目遣いにジャックをみつめるエリオットに、ジャックは言葉を失った。
エリオットから視線を逸らし、何かを考えるようにじっと俯いていたジャックが、しばらくして不意に顔を上げた。
だから、フレイザーは君にとっては特別な人なんだね…」
「……エリオット…フレイザーはなんで俺に優しくしてくれたんだろう?」
「え…?」
思いがけないジャックの問いかけに、エリオットは戸惑い、おかしな声を出す。
「船の中でも俺はフレイザーにはあんなに酷い態度を取ったのに…それでも、あいつは俺のことを見捨てなかった。
俺…本当はそのことがすごく嬉しかったんだ。
それに、今度のことだって……
一歩間違えれば死んでたかもしれないのに、フレイザーは…
エリオット、俺にはわからないんだ。
なんで、フレイザーがそこまでしてくれるのか…」
ジャックは俯いたまま、困惑した声を出した。
「うん…彼は、ちょっと変わった所もあるけど優しい人だから……」
「優しい…?
……それは俺に同情してるってことか?
俺が弱い人間だから…」
エリオットは、黙ったままで首を振る。
「僕もうまくは言えないけど、同情とは違うと思うよ。
……なんて言ったら良いんだろ?
持ち前の性格…なのかな?
彼は、困ってる人がいたらそれを見過ごせないんだよ。
自分の出来る精一杯のことをしようと考える人なんだよ。」
「だから、それは同情とはどう違うんだ!?」
ジャックは苛立った声を上げ、その声は静かな廊下に思いがけず大きく響き、気まずそうな顔をして再び俯いた。
「……そうだね。
たとえば……うん、そうだ。
もしも、君が誰か可哀想な人を見たらどうする?」
「俺はなにもしない。」
「可哀想だとも思わないの?」
「そりゃあ…可哀想だとは思うかもしれないけど、俺には関係のないことだ。」
「フレイザーはね……関係無いって思わないんだよ。
自分に少しでもなにかしてあげられることがあれば、手を差しのばす。
ちょっとでもその人が良い状態になれるまで、彼は頑張るんだ。
……僕は、もしかしたら、それが、彼の『優しさ』なんじゃないかって思うんだけど…違うかな…?」
そう言って上目遣いにジャックをみつめるエリオットに、ジャックは言葉を失った。
エリオットから視線を逸らし、何かを考えるようにじっと俯いていたジャックが、しばらくして不意に顔を上げた。
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