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四つ目の大陸
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「……セリナ、ちょっと話したい事があるんだけど……良いかな?」
緊張した面持ちで、ジャックは言葉を選びながらセリナにゆっくりと話しかけた。
「え……?ええ……
実は私もあなたと話したいと思ってたの…」
セリナはジャックの顔を見て一瞬戸惑ったようだったが、すぐにそれは穏やかな笑みに変わった。
その優しい対応に、ジャックの緊張も和らぐ。
「ありがとう…じゃあ……」
「あそこで話しましょうか?」
ジャックが言うよりも早く、セリナが近くの森を指差した。
「あぁ、そうだね。そうしよう。」
「皆でいると、なかなか二人で話す機会ってないものね。」
「……セリナ…俺のことが怖くないのか?
俺……あんたにあんなことをしたのに……」
セリナは、ジャックの言葉に顔を綻ばせた。
「全然怖くなんてないわ!」
大袈裟な口調でそういうセリナに、ジャックはどう答えて良いのか複雑な想いを感じ、黙ったままそっと俯いた。
「あそこに座りましょう!」
セリナが指差したのは、腰掛けるのにちょうど良さそうな岩だった。
「……ついに尻尾を出したな。」
岩に向かって歩き出したその時、背後から不意に聞こえた低い声にラスターとセリナが振り向くと、そこには先に行ったはずのラスターが立っていた。
「……ラスター、それはどういうことだ?」
ジャックの問いかけにラスターは不敵に微笑んだ。
「こんなこともあろうかと思って用心しといて良かったぜ。
フレイザーは騙せても、俺はそう簡単には騙されないぞ!」
「違うのよ、ラスター。
あなた、勘違いをしてる。
ジャックと少し話がしたくて、私の方から誘ったのよ!」
「セリナ、そんな奴をかばうのはやめろ!
ジャック、いいかげんセリナの傍から離れろ!
どんな企みがあるのかは知らねぇが、俺がいる限り、おまえの思う通りにはさせない。
今すぐここから消え失せろ!
そして、二度と俺達の前にその面を出すな!わかったか!
……もし、素直に言うことを聞かないのならその時は……」
そう言って、ラスターが懐から取り出したものは鋭く光る短刀だった。
緊張した面持ちで、ジャックは言葉を選びながらセリナにゆっくりと話しかけた。
「え……?ええ……
実は私もあなたと話したいと思ってたの…」
セリナはジャックの顔を見て一瞬戸惑ったようだったが、すぐにそれは穏やかな笑みに変わった。
その優しい対応に、ジャックの緊張も和らぐ。
「ありがとう…じゃあ……」
「あそこで話しましょうか?」
ジャックが言うよりも早く、セリナが近くの森を指差した。
「あぁ、そうだね。そうしよう。」
「皆でいると、なかなか二人で話す機会ってないものね。」
「……セリナ…俺のことが怖くないのか?
俺……あんたにあんなことをしたのに……」
セリナは、ジャックの言葉に顔を綻ばせた。
「全然怖くなんてないわ!」
大袈裟な口調でそういうセリナに、ジャックはどう答えて良いのか複雑な想いを感じ、黙ったままそっと俯いた。
「あそこに座りましょう!」
セリナが指差したのは、腰掛けるのにちょうど良さそうな岩だった。
「……ついに尻尾を出したな。」
岩に向かって歩き出したその時、背後から不意に聞こえた低い声にラスターとセリナが振り向くと、そこには先に行ったはずのラスターが立っていた。
「……ラスター、それはどういうことだ?」
ジャックの問いかけにラスターは不敵に微笑んだ。
「こんなこともあろうかと思って用心しといて良かったぜ。
フレイザーは騙せても、俺はそう簡単には騙されないぞ!」
「違うのよ、ラスター。
あなた、勘違いをしてる。
ジャックと少し話がしたくて、私の方から誘ったのよ!」
「セリナ、そんな奴をかばうのはやめろ!
ジャック、いいかげんセリナの傍から離れろ!
どんな企みがあるのかは知らねぇが、俺がいる限り、おまえの思う通りにはさせない。
今すぐここから消え失せろ!
そして、二度と俺達の前にその面を出すな!わかったか!
……もし、素直に言うことを聞かないのならその時は……」
そう言って、ラスターが懐から取り出したものは鋭く光る短刀だった。
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