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四つ目の大陸
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「今いるのがここだろ?
ここからはずっと一本道だ。」
フレイザーはテーブルの上に借りて来た地図を広げ、一点を指さした。
「そして、ディーラスはここ。」
フレイザーが次に指差したのは、地図上でもかなり端の方にある地点だった。
「これはずいぶんと遠そうだな。」
「なんでも、歩いていったら四週間くらいはかかるんじゃないかってことだったぜ。」
「四週間だって!四週間っていったら、ほぼ一ヶ月じゃないか!
それじゃ、馬車でも相当かかるんじゃないか?」
今まで、地図には関心のないふりをしてそっぽを向いていたラスターが、急に身を乗り出した。
「……あぁ。
馬車が走ってるのは、ほら、この町までなんだってさ。
だから、ここからは歩きになる。
ざっとみつもってもディーラスまでは二週間ちょっとはかかるんじゃないかってことだったよ。」
「ええーーーっ!
ありもしない話だってことがわかってるのに、そんな遠くまで行かなきゃだめなのか?」
「ありもしないかどうかは行ってみなきゃわからないことじゃないか!」
食って掛かるエリオットに、ラスターは苦笑いを浮かべ、再び腰を降ろした。
「……それじゃあ、こうしようじゃないか。
もしも、ディーラスに向かってる間に、セリナが何も感じなかったら…
その時は私も素直に諦めよう。」
ダルシャの申し出にラスターは小馬鹿にしたような軽い口笛を吹いた。
「あぁ、それなら良いぜ。
それで、どこまで行くんだ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!
私はけっこう近くまで行かないと石の在り処を感じられないのよ。」
慌てるセリナとは裏腹に、ダルシャは落ちついて地図に目を落とす。
「フレイザー、ここからディーラスへの馬車がないんだったな?」
「あぁ、そうだ。」
「じゃあ、この町で良いんじゃないか?
ヘイレンの町だな。」
「よし、わかった。
じゃ、そこまでは俺も文句言わずにつきあおう。」
ふてぶてしい態度で頷くラスターに、セリナが向き合う。
「だめよ!
ここからじゃ、ディーラスまでけっこう遠いもの。
私、自信ないわ。
フレイザー、ヘイレンからディーラスへはどのくらいなの?」
「…そうだな。
この地図が正確だとしたら歩いて三、四日はかかるんじゃないか?」
「無理よ、そんなの!」
珍しく声を荒げたセリナにも、ラスターは素知らぬ顔で微笑み立ち上がる。
「よし、話は決まった!
じゃ、早速でかけようじゃないか!」
「今いるのがここだろ?
ここからはずっと一本道だ。」
フレイザーはテーブルの上に借りて来た地図を広げ、一点を指さした。
「そして、ディーラスはここ。」
フレイザーが次に指差したのは、地図上でもかなり端の方にある地点だった。
「これはずいぶんと遠そうだな。」
「なんでも、歩いていったら四週間くらいはかかるんじゃないかってことだったぜ。」
「四週間だって!四週間っていったら、ほぼ一ヶ月じゃないか!
それじゃ、馬車でも相当かかるんじゃないか?」
今まで、地図には関心のないふりをしてそっぽを向いていたラスターが、急に身を乗り出した。
「……あぁ。
馬車が走ってるのは、ほら、この町までなんだってさ。
だから、ここからは歩きになる。
ざっとみつもってもディーラスまでは二週間ちょっとはかかるんじゃないかってことだったよ。」
「ええーーーっ!
ありもしない話だってことがわかってるのに、そんな遠くまで行かなきゃだめなのか?」
「ありもしないかどうかは行ってみなきゃわからないことじゃないか!」
食って掛かるエリオットに、ラスターは苦笑いを浮かべ、再び腰を降ろした。
「……それじゃあ、こうしようじゃないか。
もしも、ディーラスに向かってる間に、セリナが何も感じなかったら…
その時は私も素直に諦めよう。」
ダルシャの申し出にラスターは小馬鹿にしたような軽い口笛を吹いた。
「あぁ、それなら良いぜ。
それで、どこまで行くんだ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!
私はけっこう近くまで行かないと石の在り処を感じられないのよ。」
慌てるセリナとは裏腹に、ダルシャは落ちついて地図に目を落とす。
「フレイザー、ここからディーラスへの馬車がないんだったな?」
「あぁ、そうだ。」
「じゃあ、この町で良いんじゃないか?
ヘイレンの町だな。」
「よし、わかった。
じゃ、そこまでは俺も文句言わずにつきあおう。」
ふてぶてしい態度で頷くラスターに、セリナが向き合う。
「だめよ!
ここからじゃ、ディーラスまでけっこう遠いもの。
私、自信ないわ。
フレイザー、ヘイレンからディーラスへはどのくらいなの?」
「…そうだな。
この地図が正確だとしたら歩いて三、四日はかかるんじゃないか?」
「無理よ、そんなの!」
珍しく声を荒げたセリナにも、ラスターは素知らぬ顔で微笑み立ち上がる。
「よし、話は決まった!
じゃ、早速でかけようじゃないか!」
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