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再会
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*
「どうだ?いたか?」
「いや、ここにはそれらしき者達を見たって奴はいない。」
通りの片隅で、息を切らせたダルシャとフレイザーが渋い顔を合わせた。
「……そうか…
それでは、彼らはアンゲラスの方に行ったのだな。
……と、いうことは、そこから船でスエルシアかジャーマシーに渡ったということも…」
「ダルシャ!きっとジャーマシーだ!
ジャックは、願い石を探してて、セリナからこの大陸の願い石はもう使ったって聞いて、それでジャーマシーに向かったんだ!」
「なるほど…そうかもしれんな…
とにかく、今からではどうしようもない。
明日の朝、早速アンゲラスに向かう事にしよう。」
ダルシャは、フレイザーの背中を叩き、二人は重い足取りで宿への道を歩いた。
*
「ダルシャ…
セリナは金は持ってたか?」
「金?
いや…それほど持ってないはずだ。」
ダルシャはそう答えると、グラスの中のワインを飲み干した。
「ジャックもたいした金は持ってないんだ。
だったら、二人は船には乗れないんじゃないか?」
「なるほどな…
だが、君の話によると、ジャックって奴は素性がわからない奴らしいじゃないか。
いざとなったら、盗みくらいするかもしれんぞ。」
「ジャックは……」
フレイザーは言いかけた言葉を飲みこみ、暗い表情で再び口を開いた。
「……そうだな。
そういうこともあるかもしれないな。」
「フレイザー……」
「こんなことになったのは、何もかも俺のせいだ。
俺があんな奴と関わったばっかりに……」
フレイザーは唇を噛み締めた。
「何も君のせいでは……」
「いや、俺が悪いんだ。
そんなこと、わかってる…
だけど……こんなことになっても、俺はまだ……」
「……まだ、あいつのことを信じてる…か。」
どこか皮肉混じりにそう言うと、ダルシャは小さな溜め息を吐く。
「……あぁ、我ながら馬鹿だと思うよ。
だけど、あいつがこんなことをしたのには、きっと何かわけがあったからだと思うんだ……」
フレイザーはダルシャに訴えかけるような瞳を向けた。
「……あぁ、わかってる。
すべてを明らかにするためにも、早く彼とセリナをみつけなければな…
彼らがこの大陸を離れる前に…」
その時、突然、部屋の扉を叩く音が響いた。
「どうだ?いたか?」
「いや、ここにはそれらしき者達を見たって奴はいない。」
通りの片隅で、息を切らせたダルシャとフレイザーが渋い顔を合わせた。
「……そうか…
それでは、彼らはアンゲラスの方に行ったのだな。
……と、いうことは、そこから船でスエルシアかジャーマシーに渡ったということも…」
「ダルシャ!きっとジャーマシーだ!
ジャックは、願い石を探してて、セリナからこの大陸の願い石はもう使ったって聞いて、それでジャーマシーに向かったんだ!」
「なるほど…そうかもしれんな…
とにかく、今からではどうしようもない。
明日の朝、早速アンゲラスに向かう事にしよう。」
ダルシャは、フレイザーの背中を叩き、二人は重い足取りで宿への道を歩いた。
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「ダルシャ…
セリナは金は持ってたか?」
「金?
いや…それほど持ってないはずだ。」
ダルシャはそう答えると、グラスの中のワインを飲み干した。
「ジャックもたいした金は持ってないんだ。
だったら、二人は船には乗れないんじゃないか?」
「なるほどな…
だが、君の話によると、ジャックって奴は素性がわからない奴らしいじゃないか。
いざとなったら、盗みくらいするかもしれんぞ。」
「ジャックは……」
フレイザーは言いかけた言葉を飲みこみ、暗い表情で再び口を開いた。
「……そうだな。
そういうこともあるかもしれないな。」
「フレイザー……」
「こんなことになったのは、何もかも俺のせいだ。
俺があんな奴と関わったばっかりに……」
フレイザーは唇を噛み締めた。
「何も君のせいでは……」
「いや、俺が悪いんだ。
そんなこと、わかってる…
だけど……こんなことになっても、俺はまだ……」
「……まだ、あいつのことを信じてる…か。」
どこか皮肉混じりにそう言うと、ダルシャは小さな溜め息を吐く。
「……あぁ、我ながら馬鹿だと思うよ。
だけど、あいつがこんなことをしたのには、きっと何かわけがあったからだと思うんだ……」
フレイザーはダルシャに訴えかけるような瞳を向けた。
「……あぁ、わかってる。
すべてを明らかにするためにも、早く彼とセリナをみつけなければな…
彼らがこの大陸を離れる前に…」
その時、突然、部屋の扉を叩く音が響いた。
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