夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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 「どうだ?みつかったか?」

 「いや、いない…」

すぐにフレイザーとラスターも加わりセリナの捜索が始まったが、セリナはみつからないまま、乗るはずだった船も出航してしまった。



 「……どうしよう…
僕のせいだ……僕が、セリナの傍を離れたから…」

エリオットは、うなだれその場に膝を着く。



 「今、そんなことを言っても仕方がない。
しかし、なぜセリナの傍を離れたんだ?」

 「……それが……」

エリオットは、小さな子供のことを話して聞かせた。



 「……そうだったのか…
子供がセリナのことに関係してるとは思えないが…
 ……君がセリナの傍を離れたのは少しだけだったんだな?」

 「そうだね…せいぜい10分か15分…
それにいくら人通りが少ないとはいっても商店街にいたから、まさかこんなことになるとは思わなかったんだ…
騒ぎがあったら、誰か気付くと思って…」

エリオットは、自分のしでかしたことを後悔するように、唇を噛み締める。



 「確かにそうだな。
それに、セリナのあの髪の毛はとても目立つ。
それなのに、誰も見た者がいないとは…一体、どういうことなんだ…?」

 何の手掛かりもみつからず途方に暮れる四人は、商店街の片隅で頭を抱えた。



 「あ……!」

 「どうした、エリオット?」

 「あの子だ!」

そういうと、エリオットは店で果物を手に取る子供の傍に駆け出した。
 三人もその後を追う。



 「ボク…さっきのお姉ちゃん知らない?
 僕と一緒にいた銀色の髪の毛のお姉ちゃん…」

 子供は、エリオットの問いには答えず、酷く怯えたような顔をしてその場から駆け出した。



 「こら、ガキ!
なんで逃げるんだ!」

ラスターは素早く子供の襟首を掴まえた。



 「ぼ…僕…頼まれただけだもん。
だって、お兄ちゃんがお金くれたから…」

 子供は、ラスターに襟首を掴まれたまま、泣きそうな顔をして小さな声で呟く。
その言葉に、皆、驚き、顔を見合わせた。



 「ボク…怒ってるんじゃないんだよ。
ねぇ…どんなお兄ちゃんに何を頼まれたの教えてくれる?
……あ、そうだ、おいしいクッキーがあるよ。」

エリオットは、バッグの中からクッキーを取りだし、子供の手に握らせた。
子供は、それを見るとにっこりと微笑み、ゆっくりと話し始めた。
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