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再会
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「この石がどうかしたのか?」
オスカーは、そう言いながら水色の石をダルシャに手渡した。
「オスカーさん、どうもありがとうございます。」
ダルシャは、丁寧に礼を述べると、受け取った水色の玉を突然セリナに手渡した。
「……ダルシャ、どういうこと?」
「セリナ、お母さんのことを願うんだ。」
「何を言ってるの?
これは双子石だって…」
そう言いかけたセリナははっとしたようにエリオットの顔をみつめた。
「そうか…エリオットは生きていた。
だから、あの時この石は…それじゃあ、もしかしたら……」
ダルシャは、セリナに向かって深く頷いた。
「セリナ…お母さんのことを願うんだ!」
「え…でも…私……
それに、母さんはもう……」
「セリナ、この石が双子石か願い石かはまだわからない…
たとえ、願い石だったとしても君の願いが叶うかどうかも…
だからこそ、やってみるんだ。
そうだな……お母さんを……そうだ!どこか安全な所へ飛ばしてもらうように願ったらどうだ!?」
「……安全な場所……」
セリナは、手の中の水色の石をじっとみつめる。
部屋の中には、張り詰めた空気が流れ、誰も口を開かず、セリナの行動を見守った。
……やがて、セリナがダルシャに向かって大きく一度頷き、石に向き直ると小さな声で言葉を投げ掛ける。
「もしも…もしも母さんがまだ生きてるのなら…
母さんを…エルフの里へ…!」
セリナが言葉を言い終えると同時に、セリナの手の中の石は軽い音を立てて砕け散った。
「あ……」
その光景に、皆、息を飲み、動きを止めた。
「あぁ……」
セリナはテーブルに顔を伏せて肩を震わせ、ダルシャはその肩をそっと抱き締め囁いた。
「良かったな、セリナ…
これで、君のお母さんはもう大丈夫だ。」
セリナは顔を伏せたまま、何度も何度も頷いた。
「セリナ!良かったね!
本当に良かった!!」
エリオットはセリナの傍らに座りこみ、セリナの背中にすがりつきながら涙を流す。
その場にいた全員が、セリナの母親の無事を心から喜んだ。
オスカーは、そう言いながら水色の石をダルシャに手渡した。
「オスカーさん、どうもありがとうございます。」
ダルシャは、丁寧に礼を述べると、受け取った水色の玉を突然セリナに手渡した。
「……ダルシャ、どういうこと?」
「セリナ、お母さんのことを願うんだ。」
「何を言ってるの?
これは双子石だって…」
そう言いかけたセリナははっとしたようにエリオットの顔をみつめた。
「そうか…エリオットは生きていた。
だから、あの時この石は…それじゃあ、もしかしたら……」
ダルシャは、セリナに向かって深く頷いた。
「セリナ…お母さんのことを願うんだ!」
「え…でも…私……
それに、母さんはもう……」
「セリナ、この石が双子石か願い石かはまだわからない…
たとえ、願い石だったとしても君の願いが叶うかどうかも…
だからこそ、やってみるんだ。
そうだな……お母さんを……そうだ!どこか安全な所へ飛ばしてもらうように願ったらどうだ!?」
「……安全な場所……」
セリナは、手の中の水色の石をじっとみつめる。
部屋の中には、張り詰めた空気が流れ、誰も口を開かず、セリナの行動を見守った。
……やがて、セリナがダルシャに向かって大きく一度頷き、石に向き直ると小さな声で言葉を投げ掛ける。
「もしも…もしも母さんがまだ生きてるのなら…
母さんを…エルフの里へ…!」
セリナが言葉を言い終えると同時に、セリナの手の中の石は軽い音を立てて砕け散った。
「あ……」
その光景に、皆、息を飲み、動きを止めた。
「あぁ……」
セリナはテーブルに顔を伏せて肩を震わせ、ダルシャはその肩をそっと抱き締め囁いた。
「良かったな、セリナ…
これで、君のお母さんはもう大丈夫だ。」
セリナは顔を伏せたまま、何度も何度も頷いた。
「セリナ!良かったね!
本当に良かった!!」
エリオットはセリナの傍らに座りこみ、セリナの背中にすがりつきながら涙を流す。
その場にいた全員が、セリナの母親の無事を心から喜んだ。
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