夢の硝子玉

再会

３

＊



 「おまえは本当に運が良いんだなぁ…」

ラスターが、エリオットの顔をまじまじとみつめ、感心したようにそう呟いた。

エリオットは自分が助かった経緯、そしてそれからフレイザーに会うまでのことを話して聞かせた。



 「めったに山には入らない人がたまたま何ヶ月かぶりに山にいて、それで助けてもらえるなんて普通あることじゃないぜ。
その上、たまたまフレイザーにまで出会ったなんて…おまえ、どこまで運が良いんだ！？」

 「確かにラスターの言う通りだよね。
 本当だったら僕……こうして、皆と会えることはなかったんだよね。
……心配かけてごめんね。」

エリオットは、皆に向かって頭を下げた。



 「……悪いのは俺なんだ。
 本当にすまなかった。」

 「そんなことないよ。
 僕が悪いんだ。
 僕、魔法が使えるからって油断してたんだ。」

 「いや、元はといえば、おまえを一人で山に行かせた俺が…」

 「ううん、それは僕が…」



 「ストーーーップ！」

フレイザーが一際大きな声を上げ、二人の不毛なやりとりを止めた。



 「……もう良いじゃないか。
どっちが悪いって問題じゃない。
でも、今回は奇蹟みたいな幸運で助かったけど、いつもこんな風にうまくいくわけじゃないからな。
 旅には危険がつきものだ。
どんな時にも気をひきしめて行こうな。」

 「フレイザー…」

 「な、なんだよ。」

 「……しばらく離れてる間に、あんた、しっかりして来たな。」

 本気だか馬鹿にしてるのかよくはわからないがしみじみとした顔で、ラスターがフレイザーにそう言った。



 「え…！？」

 他の皆も納得したように頷いているのを見て、フレイザーは頬を染める。



 「皆、良い奴ばかりだな。
こんな良い仲間に恵まれたなんて、あんたらは皆幸せもんだぞ。
さて…話はそのくらいにして、そろそろめしでも食わないか？」

 「そういえば、俺達も今日は朝から食ってないんだった。
……でも、俺達もここでご馳走になって良いんですか？」

 「つまらない遠慮なんかするな。
……じゃあ、セリナ、手伝っておくれ。」

 「あ、僕も手伝います！」

オスカーとセリナ、そしてエリオットは台所へ向かった。