夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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それぞれの旅立ち

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ジャックは、フレイザーの寝顔を見ながらその場に立ち尽くす。



 (何やってんだよ、馬鹿。
……そんなに浮かれるほど、エリオットと会えたのが嬉しかったのかよ…)



 「フレイザーの馬鹿野郎!」

 「ん……?」

ジャックの声にフレイザーはもぞもぞと動いたが、やがてまた動かなくなった。
エリオットは起きる気配さえない。
ジャックは、部屋を見まわしながら大きな溜息を一つ漏らし、部屋の中に散らかったものを片付け始めた。



 *



 「昨日は本当にすまなかった!」

 「ごめんね、ジャック。
 本当に本当にごめんね!」

 次の朝、ようやく目を覚ました二人は昨日のことをジャックから聞かされ、素直に頭を下げた。



 「……ったく。
 今度から酒は禁止だからな!
 部屋片付けるの、本当に大変だったんだから…」



 「ごめん。」

 「ごめんなさい。」

 二人の声が重なった。



 「それと、壊れた椅子とその壁の穴…
それは弁償しなくちゃならないらしいぜ。
その金はどうする?」

 「うん…僕、シャルロッテからもらったお金があるから、それで弁償するよ。」

 「大丈夫か、エリオット。
 足りるのか?」

 「大丈夫だよ。」

エリオットの持っていた金のおかげで、三人は難なく支払いを済ませる事が出来た。
 無人の村へは、ちょうどワインを買いに来ていた二人の商人と一緒に向かう事になり、魔物の群れにうんざりはしたものの、誰も怪我一つすることなく無事に着く事が出来た。



 「じゃあ、俺達は二階で休ませていただきます。
おやすみなさい。」

 「あぁ、おやすみ。」

 町の入口付近にある屋敷に着いた一行は、皆で一緒に食事を済ませ、商人達は下の部屋で、フレイザー達は二階の部屋で休む事になった。
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