夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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それぞれの旅立ち

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「ちょっと良いかね?」

フレイザーに声をかけたのはシャルロッテだった。



 「あぁ、シャルロッテさん…」

 「ちょっと聞きたいのじゃが…
エリオットは…なにかとても強い術をかけられてはおらんか?」

 「えっ!?」

 「その顔は、思い当たるふしがあるということじゃな…
しかも、それはあの子だけではない。
おまえさんもじゃな。」

 「わかるんですか!」

シャルロッテは満足げに微笑み、深く頷いた。
 話そうかどうしようかと戸惑うフレイザーの心の中を見透かしたかのように、シャルロッテはフレイザーの背中を軽く叩く。



 「話しておくれ。
わしは誰かに他言するようなことはせんから、安心おし。」

そう言ったシャルロッテの皺がれた瞳は、フレイザーを安心させるものだった。



 「……シャルロッテさんにはかなわないな。
 実は……エリオットは男なんです。
そして、俺は本当は17歳。」

 「なんと!あの子が男の子とな?
それにおまえさんはまだ17?
どうしたんじゃ、誰かに呪いをかけられたのか?」

 「いえ、そうじゃなくて…
硝子玉に願いをかけたんです。
それも遊び半分で……」

 「硝子玉とは願い石のことか?
それにしたって、なんでそんな馬鹿なことを…」

 「それが……」

フレイザーは、自分たちが違う世界から硝子玉によってこの世界に飛ばされたことだけは言わず、ただ、みつけた願い石がそんな力を持っているとは知らずに遊び半分で使ってしまったことを話した。



 「しかし、おかしいじゃないか。
 願い石のことは小さな子供でさえ知っておる。」

 「そ…それがですね…俺達は、その…記憶をなくしていて…
ラスターという仲間と知り合う前のことはほとんど覚えていなかったのです。」

 「なにっ!おまえさん達は記憶喪失なのか?
じゃあ、エリオットは記憶喪失の上にさらにまた記憶を失ったというのかね!」

 「はははっ、全くおかしな話ですよね…」

そう言って、フレイザーは無理な笑いを浮かべた。
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