夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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それぞれの旅立ち

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「……酷い…
あんまりだ…
俺は、そんなことも知らず、今までずっとリュシーのことを憎み続けて来た……
なんてことだ……
すまなかった、リュシー…」

イリアスはリュシーに向き直り、頭を低く下げた。



 「そんなこと気にしてないわ。
 私はこうしてあなたに会えただけで、もう胸がいっぱいで…」

そう言って、リュシーはイリアスの肩に腕を回した。



 「イリアス…妹は、君と別れてからいくらすすめても、誰とも再婚する事はなかった。
もうこんな年になったというのに、今も一人で暮らしている。
 君への愛がそれほどまでに深かったことを知り、私は、本当のことを話さねばならんと考えたのだ。
すまなかった。
だが、当時はそれが正しいと私も父もそう思っていた。
 別れさせることが、リュシーのためになると思ったのだ。」

 「その気持ちはわかるよ…
俺とリュシーが釣り合わないことは百も承知だ。
だけど、俺はリュシーとどうしても別れたくなかった。
 一緒にいられるなら、どんなことでもするつもりだった…」

 「そうね…あなたはラスターが出来たとわかった頃からは特に…
朝早くから夜遅くまで本当に倒れるんじゃないかと思うほど、よく働いてくれたわね。」

 「実はあの頃、ヨギラの町に小さな家を借りる話がまとまりかかってて、働き口も決まってたんだ。
しっかり決まったらおまえに話そうと思ってた矢先だった。
 作業場に見知らぬ男達がやって来て…
家に戻ったらおまえはもういなかった。
 家の中ではラスターが泣きじゃくり、それを隣の婆さんがあやしてくれてた…」

イリアスはそう言うと、嫌な思い出を振り払うかのように頭を抱え首を振った。
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