138 / 802
それぞれの旅立ち
31
しおりを挟む
サーカスのある町へは二時間程かかると言われた事から、御者に話を聞いた所、ナリムから約二時間かかりサーカス等が催されるのは、アーザイドの町だろうと推測された。
その中継地点には四つ程の町があるとのこと。
一つめの町はすぐ傍だということから除外し、二つめの町から順番に立ち寄ることになった。
二つめの町は小さな町で、ここではないとリュシーは断言した。
三つめの町もどこか違うと言う。
そうなると、残るは四つめの町しかない。
「リュシー、本当にさっきの町ではないんだな?
しかし、年月の経過と共に町の景観は移り行くもの…そのこともあわせて考えるのだぞ。」
「はい。わかっています。」
「町には何か特徴的なものはなかったのか?」
「特徴的なものですか……教会と、宿屋と……」
「そんなものはどこの町にもある。」
アンドリューは苛立ち、眉間には深い皺が刻まれた。
「まぁまぁ、アンドリューさん、リュシーさんを責めても仕方のない事ですよ。
もうずいぶんと昔のことなんですからな。
リュシーさん、慌てんでええから、町であったことをゆっくりと思い出してみなされ。」
「はい……あの時…御者さんが車輪の具合を見てらっしゃる間…私は…
そう!どこかのお店で待つように言われました。
昼食の前に飛び出て来たからおなかが減っていて、それで昼食を食べて…しばらくして御者さんが来られて出ようとした時に私がお金を持っていないというと急に大きな声で怒鳴られて…」
「リュシー、おまえは一銭の金も持っていなかったのか?」
「ええ…だって私は普段お金を自分で払ったことはなかったんですもの…」
アンドリューは、口を開けたままリュシーの顔をみつめ、リュシーは困ったように肩をすくめる。
「なんという娘だ……」
アンドリューな信じられないといった風に、何度も頭を振る。
「まぁまぁ、アンドリューさん。
とにかく、食堂をあたってみましょう。」
町から入って少し歩いた通りに、小さなレストランがあった。
リュシーはなんとなく外観が違うようだと言ったが、とりあえず、三人はその店に入ることにした。
「二十年近く前の話かぁ…っていうと、おやじが店をやってて俺がまだ見習いだった頃のことだな。」
「では、その当時からこのお店はあったのですね。」
「あぁ、あったよ。
数年前に店を建て替えたんだが、歴史はけっこう長いんだ。
……そうだ!」
話の途中で、主人がいきなり手を打った。
その中継地点には四つ程の町があるとのこと。
一つめの町はすぐ傍だということから除外し、二つめの町から順番に立ち寄ることになった。
二つめの町は小さな町で、ここではないとリュシーは断言した。
三つめの町もどこか違うと言う。
そうなると、残るは四つめの町しかない。
「リュシー、本当にさっきの町ではないんだな?
しかし、年月の経過と共に町の景観は移り行くもの…そのこともあわせて考えるのだぞ。」
「はい。わかっています。」
「町には何か特徴的なものはなかったのか?」
「特徴的なものですか……教会と、宿屋と……」
「そんなものはどこの町にもある。」
アンドリューは苛立ち、眉間には深い皺が刻まれた。
「まぁまぁ、アンドリューさん、リュシーさんを責めても仕方のない事ですよ。
もうずいぶんと昔のことなんですからな。
リュシーさん、慌てんでええから、町であったことをゆっくりと思い出してみなされ。」
「はい……あの時…御者さんが車輪の具合を見てらっしゃる間…私は…
そう!どこかのお店で待つように言われました。
昼食の前に飛び出て来たからおなかが減っていて、それで昼食を食べて…しばらくして御者さんが来られて出ようとした時に私がお金を持っていないというと急に大きな声で怒鳴られて…」
「リュシー、おまえは一銭の金も持っていなかったのか?」
「ええ…だって私は普段お金を自分で払ったことはなかったんですもの…」
アンドリューは、口を開けたままリュシーの顔をみつめ、リュシーは困ったように肩をすくめる。
「なんという娘だ……」
アンドリューな信じられないといった風に、何度も頭を振る。
「まぁまぁ、アンドリューさん。
とにかく、食堂をあたってみましょう。」
町から入って少し歩いた通りに、小さなレストランがあった。
リュシーはなんとなく外観が違うようだと言ったが、とりあえず、三人はその店に入ることにした。
「二十年近く前の話かぁ…っていうと、おやじが店をやってて俺がまだ見習いだった頃のことだな。」
「では、その当時からこのお店はあったのですね。」
「あぁ、あったよ。
数年前に店を建て替えたんだが、歴史はけっこう長いんだ。
……そうだ!」
話の途中で、主人がいきなり手を打った。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる
竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。
ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする.
モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする.
その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
光のもとで1
葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。
小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。
自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。
そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。
初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする――
(全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます)
10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。
チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです
珠宮さくら
ファンタジー
前世の祖母にように花に囲まれた生活を送りたかったが、その時は母にお金にもならないことはするなと言われながら成長したことで、母の言う通りにお金になる仕事に就くために大学で勉強していたが、彼女の側には常に花があった。
老後は、祖母のように暮らせたらと思っていたが、そんな日常が一変する。別の世界に子爵家の長女フィオレンティーナ・アルタヴィッラとして生まれ変わっても、前世の祖母のようになりたいという強い憧れがあったせいか、前世のことを忘れることなく転生した。前世をよく覚えている分、新しい人生を悔いなく過ごそうとする思いが、フィオレンティーナには強かった。
そのせいで、貴族らしくないことばかりをして、家族や婚約者に物凄く嫌われてしまうが、思わぬ方面には物凄く好かれていたようだ。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
前世で眼が見えなかった俺が異世界転生したら・・・
y@siron
ファンタジー
俺の眼が・・・見える!
てってれてーてってれてーてててててー!
やっほー!みんなのこころのいやしアヴェルくんだよ〜♪
一応神やってます!( *¯ ꒳¯*)どやぁ
この小説の主人公は神崎 悠斗くん
前世では色々可哀想な人生を歩んでね…
まぁ色々あってボクの管理する世界で第二の人生を楽しんでもらうんだ〜♪
前世で会得した神崎流の技術、眼が見えない事により研ぎ澄まされた感覚、これらを駆使して異世界で力を開眼させる
久しぶりに眼が見える事で新たな世界を楽しみながら冒険者として歩んでいく
色んな困難を乗り越えて日々成長していく王道?異世界ファンタジー
友情、熱血、愛はあるかわかりません!
ボクはそこそこ活躍する予定〜ノシ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる