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それぞれの旅立ち
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(スエルシアへはけっこうかかるな…一人じゃかなり退屈だ。
……リュシーさん達、無事、ダルシャの屋敷に着けたかなぁ…
もう少し日にちにゆとりがあったら、俺が送り届けたのに…)
だんだん小さくなって行くフーリシアをみつめながら、フレイザーは甲板を所在無さげに歩き回っていた。
甲板にいるのは家族連れやカップルばかりで、どうにも話し掛けにくい雰囲気を感じたフレイザーは、人気のない甲板の隅に腰を降ろし、ポケットの中の地図を取り出した。
(もうエリオット達はフーリシアに着いてる頃だろうな。
港に着いたらそこからは馬車に乗るんだよな。
落ち合うことになってるのは、ここゾラーシュの町だな…)
地図には、ちょうど大陸の中心あたりに赤い×印が付けてあった。
「あ…!」
急な風に煽られて、地図は甲板を走って行く。
「こ、こらっ!待てって!」
ようやく地図を捕まえたフレイザーは、地図が海に落ちなかったことにほっと胸を撫で下ろした。
(ま、馬車で行くんだから地図がなくたって問題はないけど、ここでは地図は意外と高いからな。)
フレイザーが折り目に沿って地図を折り畳み、胸のポケットに入れようとした時、目の端になにが動くものを認めた。
フレイザーが視線を移した先には、一人の人間が壁にもたれかかっていた。
大きなフードをすっぽりとかぶり、年はおろかその者が男か女かなのさえわからない。
「どうかしたのか?」
フードの奥からのぞいた鋭い視線がフレイザーを睨みつけた。
「なんでもない…」
その声は少年のもののようだった。
「なんでも…って…
もしかして、おまえ具合が悪いんじゃないのか?」
「俺のことは放っておいてくれ!」
その強い口調に、フレイザーは気になりつつも引き上げた。
そのまま船室に戻ったものの、酔っ払った男達の騒ぐ声がうるさく、フレイザーは横になっても眠る事は出来なかった。
(やっぱり、個室にすれば良かったかな。
だけど、旅費は全部ダルシャに出してもらってるし、そうでなくても船賃は高い。
着いたら馬車にも乗るわけだし、少しでも節約しないとな。)
こんな時、本でもあれば時間潰しが出来るのだろうが、あいにくとフレイザーにはこの世界の文字は読めない。
旅をしている間に少しは覚えたものもあるが、そのほとんどが物の名前だけだった。
そんな状況で本等読める筈もない。
(スエルシアへはけっこうかかるな…一人じゃかなり退屈だ。
……リュシーさん達、無事、ダルシャの屋敷に着けたかなぁ…
もう少し日にちにゆとりがあったら、俺が送り届けたのに…)
だんだん小さくなって行くフーリシアをみつめながら、フレイザーは甲板を所在無さげに歩き回っていた。
甲板にいるのは家族連れやカップルばかりで、どうにも話し掛けにくい雰囲気を感じたフレイザーは、人気のない甲板の隅に腰を降ろし、ポケットの中の地図を取り出した。
(もうエリオット達はフーリシアに着いてる頃だろうな。
港に着いたらそこからは馬車に乗るんだよな。
落ち合うことになってるのは、ここゾラーシュの町だな…)
地図には、ちょうど大陸の中心あたりに赤い×印が付けてあった。
「あ…!」
急な風に煽られて、地図は甲板を走って行く。
「こ、こらっ!待てって!」
ようやく地図を捕まえたフレイザーは、地図が海に落ちなかったことにほっと胸を撫で下ろした。
(ま、馬車で行くんだから地図がなくたって問題はないけど、ここでは地図は意外と高いからな。)
フレイザーが折り目に沿って地図を折り畳み、胸のポケットに入れようとした時、目の端になにが動くものを認めた。
フレイザーが視線を移した先には、一人の人間が壁にもたれかかっていた。
大きなフードをすっぽりとかぶり、年はおろかその者が男か女かなのさえわからない。
「どうかしたのか?」
フードの奥からのぞいた鋭い視線がフレイザーを睨みつけた。
「なんでもない…」
その声は少年のもののようだった。
「なんでも…って…
もしかして、おまえ具合が悪いんじゃないのか?」
「俺のことは放っておいてくれ!」
その強い口調に、フレイザーは気になりつつも引き上げた。
そのまま船室に戻ったものの、酔っ払った男達の騒ぐ声がうるさく、フレイザーは横になっても眠る事は出来なかった。
(やっぱり、個室にすれば良かったかな。
だけど、旅費は全部ダルシャに出してもらってるし、そうでなくても船賃は高い。
着いたら馬車にも乗るわけだし、少しでも節約しないとな。)
こんな時、本でもあれば時間潰しが出来るのだろうが、あいにくとフレイザーにはこの世界の文字は読めない。
旅をしている間に少しは覚えたものもあるが、そのほとんどが物の名前だけだった。
そんな状況で本等読める筈もない。
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