夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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願い石の導き

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「良い考えって…ラスター、どんなことを思いついたの?」

ラスターはにやりと微笑み、ダルシャの顔を意味ありげに見つめた。



 「まずは、ナジュカを捕まえないと、な…」

 「なんで、ナジュカなんて……あ!!」

 声を上げたエリオットに、ラスターがにんまりと微笑んだ。



 「まさか……」

ダルシャもラスターのアイディアに思いあたったようだった。



 「ここは、あんたに頑張ってもらわないとな。」

 「そ…そんな…」

ラスターの思わぬ提案に、ダルシャは困惑の色をあらわにする。



 「おい、ラスター、ダルシャに何をやらせるつもりなんだ?」

 「なんだ、あんたはまだわかってないのか…
良いか、ダルシャにナジュカを見せて例のマーナ男に変身してもらう。
 獣人としては多少おかしいかもしれないが、なぁに、あの程度ならなんとかなるさ。
 獣人達も同族なら気を許す筈だ。」

 「なるほど!そいつは良い考えだ。
……だけど、俺達はどうするんだ?」

 「……そうだなぁ…
うん、そうだ!
 俺達は、人間に苛められてるダルシャを救った旅の者っていうのはどうだ?
それで、このあたりに獣人の村があると聞いて、ダルシャを連れて来たっていうのは…
そして、奴らから信頼を得て願い石の情報を聞き出す。
もし、村の中にあった場合は…」

ラスターはそう言いながら、懐の中に何かを入れる仕草をした。



 「いやだ!
 獣人を騙すだけでも心苦しいのに、盗人の真似など私には出来ない…」

 「盗みは俺がやるさ。
あんたは、ただ話をあわせておけば良い…」

 「だが……」

ダルシャは明らかに気が進まない様子だ。



 「僕もいやだな…」

ぽつりと呟いたエリオットに、ラスターは刺すような視線を向ける。



 「じゃあ、あんたらはセリナのお母さんがどうなっても良いっていうのか!
セリナのお母さんは今どんな危ない状況かわからないんだぞ!」

ラスターは、エリオットとダルシャを交互に睨みつけ、強い口調でそう言い放った。



 「……ラスター、やめて。
ダルシャ達が嫌がるのは当然のことだわ。
 私だって…獣人を騙すなんていやだもの…」

 「セリナ!そんな綺麗事を言ってる場合じゃない!
もたもたしてたら、セリナの母さんが…」

 「……母様になにかあったら…
それは、私だけの責任よ…
母様を置いて逃げて、すぐに探しにも行かなかった私が悪いの…」

セリナは皆にくるりと背を向けた。
そのか細い肩が小さく震えている。 
 
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