夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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ある休日の出来事

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「じゃあ、おまえはそっちな!」

 「は?」

エリオットは、フレイザーの言葉の意味がわからず、間の抜けた顔を彼に向けた。



 「だから~…
今から、このあたりの探索!
きっとこのあたりにはもっと何かあるはずだから。
俺はあっちの方を調べて来るからな。」

 「え……」

 言いたいことだけ言って立ち去ったフレイザーの後姿を、エリオットは呆然と見送った。



 (……なんで、僕がそんなことしなきゃならないんだ!)



 眉間に皺を寄せ、エリオットがフレイザーの後ろ姿を睨みつけていると、急にその身体が向きを変えた。



 (うわっ!)



 「エリオット!逃げるなよ!
 逃げたら、もっと酷い噂話を言いふらしてやるからな!
 真面目に探すんだぞ!」

そう言って、中指を立てるポーズを決めるフレイザーに、エリオットは心の中で呟いた…



(こいつは、悪魔だ……)



 *



エリオットに逃げる気はなかったが、遺跡を探す気もなかった。
フレイザーの言う通り、もしかしたら本当にここは遺跡だったのかもしれないとは思えたが、だからといって、自分の手で古代の遺物を発見したいと思うほどの興味はエリオットにはなかった。
それよりも早く家に帰って、ゲームの続きをしたいと考えていた。



 (今ちょうど面白いとこなのに、なんで、僕こんな所にいるんだろう…)



今の状況に対しての不平を心の中で呟きながら、エリオットはフレイザーに指示された場所をただぼんやりと歩いていた。
目についた物があると、足で軽く蹴って転がしてみるが、それらはありふれた石ころばかり。
さっき見た柱の欠片でさえもなさそうだった。



 (そうだ…
考えてみれば、あれが大理石の柱だったとしても、ここが遺跡とは限らないじゃないか。
たとえば、リフォーム業者がいらなくなった柱を捨てただけとかさ…
そうだよな、その方が可能性は高い!
こんな所に遺跡なんかがあったら、考古学者達がとっくにみつけてる筈だもんな。)



そんなことを考えると、エリオットはますます探す気力を失った。
しかし、フレイザーにはそんなことは言えない。
本心を言えば、今すぐにでも帰りたいところがだが、後のことを考えるとそうするのも怖い…
どうしたものかと考えながら歩いていたエリオットの足元からおかしな音がした。

 
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