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洋風居酒屋
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「お待たせしました。赤ワインです。」
今日も、店はほぼ満席だ。
昔からの夢だった洋風居酒屋を開店して、早くも一年近い時が流れた。
これといったトラブルもなく、いつの間にか、常連さんも増えた。
*
「あぁ、疲れた。」
「あ、赤ワイン、これからはいつもより少し多めに仕入れた方が良いかも。」
「そうね。最近は良く出るわね。」
店は、妻と妻の妹の三人できりもりしている。
最初は夫婦二人で始めたが、お客が増えてからはとても二人では回せず、そんな時、たまたま休職中の妻の妹に来てもらうようになったんだ。
「義兄さん、ラクレット、大当たりだったでしょ。
今日もずいぶん出たわよ。」
「あぁ、真奈美ちゃんの言った通りだったな。」
メニューは三人で決めている。
真奈美ちゃんは、若い子の流行りを良く知ってるから助かる。
「ボジョレーはどのくらい入れようか?」
「去年は全然足りなかったものね。」
「なにか新メニューもほしいよな。」
仕事が終わるとぐったりなのに、ついそんな話に花が咲いてしまう。
「そういえば、一周年ももうすぐだけど、何かやった方が良いかしら?」
「そうだよな。何が良いかな。
1ドリンクプレゼントとか?」
「えーー…」
「えーーっ。」
妻と義妹が同じタイミングで声を上げた。
「だめか?」
「しょぼい!」
「ダサい!」
「じゃあ、何が良いんだよ。」
「何かちょっとした小皿ものはどうかしら?」
「そうね。オシャレなおつまみの盛り合わせみたいな…」
「うんうん、良いね。
そんなの出てきたら嬉しいよねぇ。」
妻と義妹は、顔を寄せあって盛り上がっている。
酒や食べることが好きなだけで、店を始めてもうまくいくはずがない。
そんな風に言われたこともあったけど、思い切って始めて良かったと今では思う。
みんなが楽しく飲んで食べて寛いで、笑顔になって…
(まだまだ頑張らなきゃな!)
疲れてるはずなのに、なんだか無性にやる気がわいてくる。
みんなに喜んでもらえるように、もっと頑張ろう!
今日も、店はほぼ満席だ。
昔からの夢だった洋風居酒屋を開店して、早くも一年近い時が流れた。
これといったトラブルもなく、いつの間にか、常連さんも増えた。
*
「あぁ、疲れた。」
「あ、赤ワイン、これからはいつもより少し多めに仕入れた方が良いかも。」
「そうね。最近は良く出るわね。」
店は、妻と妻の妹の三人できりもりしている。
最初は夫婦二人で始めたが、お客が増えてからはとても二人では回せず、そんな時、たまたま休職中の妻の妹に来てもらうようになったんだ。
「義兄さん、ラクレット、大当たりだったでしょ。
今日もずいぶん出たわよ。」
「あぁ、真奈美ちゃんの言った通りだったな。」
メニューは三人で決めている。
真奈美ちゃんは、若い子の流行りを良く知ってるから助かる。
「ボジョレーはどのくらい入れようか?」
「去年は全然足りなかったものね。」
「なにか新メニューもほしいよな。」
仕事が終わるとぐったりなのに、ついそんな話に花が咲いてしまう。
「そういえば、一周年ももうすぐだけど、何かやった方が良いかしら?」
「そうだよな。何が良いかな。
1ドリンクプレゼントとか?」
「えーー…」
「えーーっ。」
妻と義妹が同じタイミングで声を上げた。
「だめか?」
「しょぼい!」
「ダサい!」
「じゃあ、何が良いんだよ。」
「何かちょっとした小皿ものはどうかしら?」
「そうね。オシャレなおつまみの盛り合わせみたいな…」
「うんうん、良いね。
そんなの出てきたら嬉しいよねぇ。」
妻と義妹は、顔を寄せあって盛り上がっている。
酒や食べることが好きなだけで、店を始めてもうまくいくはずがない。
そんな風に言われたこともあったけど、思い切って始めて良かったと今では思う。
みんなが楽しく飲んで食べて寛いで、笑顔になって…
(まだまだ頑張らなきゃな!)
疲れてるはずなのに、なんだか無性にやる気がわいてくる。
みんなに喜んでもらえるように、もっと頑張ろう!
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