１ページのあいうえお

ストール

２

＊



「ちょっと買い過ぎたんじゃない？」

「よく言うよ。
こんなのほとんどおまえの胃袋に消えていくぜ。」



買い物を済ませて達也の家に着くと、私は勝手知ったる奴の家にずかずか入って、コートを脱いだ。



（……ん？）



達也の部屋には、この前来た時にはなかったこたつが出してあり……



「あーーーーーっっ！」



「なんだ？どうした？」

「こ、これっっ！」

「えっ！？……あぁ、どうもありがとうな。
早速、使わせてもらってるからな。」

「な、な、なんで、これがここに！？」

「……はぁ？」



私が混乱するのも当然だ。
だって、あの日なくした買ったばかりのアフガンストールが、こたつ布団の上にかけられてたんだもん。
どうしたらそういうことになるのよ！？
奇蹟としか思えない。

冷たい水を飲み、気を落ちつかせ、達也に話を聞いてびっくり！
なんと！
あの日、私はコンビニのスイーツをたくさん買って、お土産だと言って持って来たそうな。
確かに、女子会をしたのはここの近くの店だったけど…なんでここ？なんでスイーツ？
全く意味がわからない。
私…相当酔ってたんだなぁ…

その時にスイーツと一緒にストールもあったから、達也はそれをもらったもんだと思ったらしく、しかも、テーブルクロスと間違えてるあたりが……



「達也！これはクロスじゃなくて、ストール！
首に巻くやつだよ。
それに、これはお土産じゃなくて、私の。
忘れて帰ったんだよ。」

「これを……首に？」

あぁぁ、これだからファッションに関心のない男は困る。
値段を聞いたらびっくりするだろうな。

でも、とにかくみつかって良かった。
こたつにかけてあるのも似合ってはいるけれど…やっぱりそれじゃあもったいない！
私は、こたつにかけられてたストールをそっとはがした。