お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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066 : 明日をつかまえに

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「えらく遅くなっちまったな。」

「遅いのか早いのか、もはやわからないな。」



結局、私達がロアンヌの家を離れたのは、夜が明けた後だった。
ロアンヌは明るく面白いリュックがたいそう気に入ったようだった。
そのお陰で、なかなか離してもらえなかったのだ。
まぁ、私達も楽しい想いはした。
ロアンヌは、酒が入ると、素面の時とは別人のように変わる。
ある種、高圧的で近寄り難い程の気配を放つ者から、陽気で話し好きな者に。
不思議なことに、千里眼の能力は飲まないと発揮出来ないと言っていた。



ロアンヌの千里眼は、とても当たっているように思える。
自然と、カトリーヌの父親の消息についても期待してしまっている。
彼女に訊ねれば、大概のことは見透かされてしまうのではないか。
そう思えば思う程、薄ら寒い想いがした。
リュックがこの先どうなるのか、クロワの隠し事とは何なのか、最近、姿を表さないアイツのこと…
知りたいことはいろいろあるのに、なぜだか訊く気にはならなかった。
リュックも、何も質問しなかった。



「とりあえず、今日は休んで、明日、出発だな。」

「そうだな。」

リュックは、カトリーヌの父親を探しに行くつもりだ。
カトリーヌはまだ体力的にも難しいだろうから、私達が行くのが良いだろう。



私達は、そのまま診療所に向かい、ロアンヌに会ったこと、ロアンヌから聞いた情報について、カトリーヌに話した。



「ありがとうございます!
そんなに詳しくわかったなんて…
でも、当たってるかどうかは、わかりませんよね。」

「俺は当たってると思うぜ。
あの婆さんの千里眼はすごいって。」

「どうして、そう思われるのですか?」

「え、どうしてって、それは…」

リュックは、実はロアンヌよりも長い年月を生きていることを言い当てられている。
だが、そんなことは言えない。
言ったところで、カトリーヌが信じるはずもない。
それで戸惑っているのだろう。
そんなこと、言う必要も無いのに。



「それは、リュックが頭に描いたカトリーヌさんのことを見事に当てたからですよ。
あなたが今、伏せっていることもロアンヌさんは当てました。」

「そ、そうなんだ!だから、俺はあの婆さんは信じられるって思ってるんだ。」

リュックはそう言って、大きく頷いた。
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