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048 : 数珠つなぎ
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「早いなぁ…もう月が出てら。
今日もあっという間だったな。」
「そうだな。一日が過ぎるのをこんなに早いと感じたのはひさしぶりだ。」
「……久し振り?
それじゃあ、この前はいつそう感じたんだ?」
「え……?
さぁ……そう言われると……すぐには思い出せないが……」
「あんたは本当に面白いな!」
リュックは笑いながらそう言うと、私の背中をぽんと叩いた。
広場での炊き出しをたいらげると、私達はすぐさま宿となっている教会へ向かった。
商店街が焼け、町を離れた者も多いため辺りには明かりも少なく、まだそれほど遅い時間ではないというのに、町はやけに静まり返っている。
「そういえば、先生は無事に鍵を直せたんだろうか?」
「それほど難しい作業でもないんだし、彼にもなんとか出来たんじゃないかな。
……あ……そうだ、リュック……ガラス!」
「ガラス……?
ガラスがどうか……あぁーーーっ!」
私達はついうっかりと、リンゼイの屋敷のガラスのことを忘れていたことに今頃になって気付いた。
なんせ、あの時は野菜を運んでからまたすぐ帰るつもりだったし、そもそも朝早かったから商店はまだ開いていなかったのだ。
「困ったなぁ……
ガラスがなきゃ不便だとは思うが、こんな時にわざわざ仕事を抜け出して頼みに行くのもなんだしなぁ……」
リンゼイの住んでいた隣町へ行こうと思ったら、朝早くに出ても戻って来るのは日が暮れてからだ。
丸一日作業が出来なくなってしまう。
「リュック……食料や資材はこの先の町に調達に行ってるよな?
だったら、明日は私か君がこの先の町に調達に行って、その時についでに頼んで来たらどうだろう?」
「……そうだな。
それだったら無駄になることもないし…ま、多少遠くはなるがそのあたりはうまく言ってみるさ。
うん、そうしよう!それじゃあ、明日、俺が行って来るよ。」
リュックは小さなあくびを噛み殺しながら、そう答えた。
「早いなぁ…もう月が出てら。
今日もあっという間だったな。」
「そうだな。一日が過ぎるのをこんなに早いと感じたのはひさしぶりだ。」
「……久し振り?
それじゃあ、この前はいつそう感じたんだ?」
「え……?
さぁ……そう言われると……すぐには思い出せないが……」
「あんたは本当に面白いな!」
リュックは笑いながらそう言うと、私の背中をぽんと叩いた。
広場での炊き出しをたいらげると、私達はすぐさま宿となっている教会へ向かった。
商店街が焼け、町を離れた者も多いため辺りには明かりも少なく、まだそれほど遅い時間ではないというのに、町はやけに静まり返っている。
「そういえば、先生は無事に鍵を直せたんだろうか?」
「それほど難しい作業でもないんだし、彼にもなんとか出来たんじゃないかな。
……あ……そうだ、リュック……ガラス!」
「ガラス……?
ガラスがどうか……あぁーーーっ!」
私達はついうっかりと、リンゼイの屋敷のガラスのことを忘れていたことに今頃になって気付いた。
なんせ、あの時は野菜を運んでからまたすぐ帰るつもりだったし、そもそも朝早かったから商店はまだ開いていなかったのだ。
「困ったなぁ……
ガラスがなきゃ不便だとは思うが、こんな時にわざわざ仕事を抜け出して頼みに行くのもなんだしなぁ……」
リンゼイの住んでいた隣町へ行こうと思ったら、朝早くに出ても戻って来るのは日が暮れてからだ。
丸一日作業が出来なくなってしまう。
「リュック……食料や資材はこの先の町に調達に行ってるよな?
だったら、明日は私か君がこの先の町に調達に行って、その時についでに頼んで来たらどうだろう?」
「……そうだな。
それだったら無駄になることもないし…ま、多少遠くはなるがそのあたりはうまく言ってみるさ。
うん、そうしよう!それじゃあ、明日、俺が行って来るよ。」
リュックは小さなあくびを噛み殺しながら、そう答えた。
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