90 / 389
012 : 負けないで
3
しおりを挟む
結局、ジョーンズは二人の攻撃に打ち負かされ、値段を大幅に下げた。
フランクリンの資金を全部出しても後半分程足りなかったものを、後五分の一というところにまで引き下げたのだ。
気が変わらないうちにということで、すぐに契約が交わされた。
残りの五分の一は毎月分割で支払う事になったため、一生懸命働けばブランドンにも払えないことはない筈だ。
*
「おめでとう!!」
「ありがとうございます!これも皆様方のおかげです!
本当にありがとうございました!」
その晩、私達はブランドンの屋敷購入の祝杯をあげた。
屋敷の名義人は幼いステファンにして、ブランドンはその後見人になった。
「あの日、あなた方と出会えなければ…
僕はきっとあの屋敷を諦めていたと思います。
フランクリンの遺志を継ごうとあんなに堅く誓った筈だったのに、僕は屋敷の値段を聞いた途端にもう駄目だと思ってた…」
「無理もないさ。
あんな金額を言われたんじゃ、誰だってきっと絶望すると思う。
でも、本当はそんな時こそ粘らなきゃならないんだ。
駄目だって思って投げ出すのは楽だが、どんなものにも1%くらいの希望はあるもんだぜ。
そのちっちゃい希望にすがりついて…そう、結論を急がないことだな。」
「その通りですね。
でも、それでもあなた方に出会ってなければ、僕だけじゃどうにもならなかったと思います。」
「あんたは、ステファンの父親と不思議な縁を感じたって言ってたよな。
それはきっとあんたがそういう役目をするために神様に選ばれたんじゃないかって思うんだ。
神様もあんたを選んだからには手助けもしてくれるさ。」
クロードはリュックのそんな話に苦笑いを浮かべていた。
彼にはとても馬鹿げた話に聞こえることだろう。
「さぁ!明日からは、忙しくなるぜ!
今夜はあんまりたくさんは飲めないな!」
「あの…忙しくなるっていうのは…?」
「あの屋敷を孤児院にするって話だよ!」
「えっ!それも手伝って下さるんですか?!」
「当たり前だろ!
元はっていうと、マルタンが言い出したんだからな!」
私は、リュックに向かって深く頷いた。
フランクリンの資金を全部出しても後半分程足りなかったものを、後五分の一というところにまで引き下げたのだ。
気が変わらないうちにということで、すぐに契約が交わされた。
残りの五分の一は毎月分割で支払う事になったため、一生懸命働けばブランドンにも払えないことはない筈だ。
*
「おめでとう!!」
「ありがとうございます!これも皆様方のおかげです!
本当にありがとうございました!」
その晩、私達はブランドンの屋敷購入の祝杯をあげた。
屋敷の名義人は幼いステファンにして、ブランドンはその後見人になった。
「あの日、あなた方と出会えなければ…
僕はきっとあの屋敷を諦めていたと思います。
フランクリンの遺志を継ごうとあんなに堅く誓った筈だったのに、僕は屋敷の値段を聞いた途端にもう駄目だと思ってた…」
「無理もないさ。
あんな金額を言われたんじゃ、誰だってきっと絶望すると思う。
でも、本当はそんな時こそ粘らなきゃならないんだ。
駄目だって思って投げ出すのは楽だが、どんなものにも1%くらいの希望はあるもんだぜ。
そのちっちゃい希望にすがりついて…そう、結論を急がないことだな。」
「その通りですね。
でも、それでもあなた方に出会ってなければ、僕だけじゃどうにもならなかったと思います。」
「あんたは、ステファンの父親と不思議な縁を感じたって言ってたよな。
それはきっとあんたがそういう役目をするために神様に選ばれたんじゃないかって思うんだ。
神様もあんたを選んだからには手助けもしてくれるさ。」
クロードはリュックのそんな話に苦笑いを浮かべていた。
彼にはとても馬鹿げた話に聞こえることだろう。
「さぁ!明日からは、忙しくなるぜ!
今夜はあんまりたくさんは飲めないな!」
「あの…忙しくなるっていうのは…?」
「あの屋敷を孤児院にするって話だよ!」
「えっ!それも手伝って下さるんですか?!」
「当たり前だろ!
元はっていうと、マルタンが言い出したんだからな!」
私は、リュックに向かって深く頷いた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました
初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。
ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。
冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。
のんびり書いていきたいと思います。
よければ感想等お願いします。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~
柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。
想像と、違ったんだけど?神様!
寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。
神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗
もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。
とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗
いくぞ、「【【オー❗】】」
誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。
「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。
コメントをくれた方にはお返事します。
こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。
2日に1回更新しています。(予定によって変更あり)
小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。
少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_
さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる