お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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011 : 地下洞窟

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「ま…まさか!」

 私達が屋敷のことをブランドンに知らせに戻ると、彼は信じられないといった表情で驚きを顕わにした。



 「本当だって!さ、行くぜ!」

 「ちょっと待って下さい!」

ブランドンは、眠るステファンを起こして背負うと、私達と共にあの屋敷に戻った。
 屋敷の門の前には先程のルーカスが待ち構えて手を振っていた。



 「おぉ…これは…!」

 屋敷を見たブランドンが声を上げた。




 「どうしたんだ?」

 「こ…これは、あの城にそっくりだ…
戴冠式を見に行った異国の城に…」

 「そうだったのか…」

 「しかし…これが個人の屋敷なのですか…
とんでもない広さじゃないですか。」

ブランドンはその敷地の広さに圧倒されたように口を開けていた。
ここを初めて見た者なら当然の反応だ。



 「中を見たら、きっと腰を抜かすよ。」

ルーカスはそう言って、肩をすくめた。



 「まさか、ここにも地下庭園があるんじゃないだろうな。」

 「なんだ、おまえさんは知ってたのか?
ただ、庭っていうよりは洞窟みたいなもんだけどな。」

 「ち…地下に洞窟が?!」

ブランドンはすでに頭が混乱しているようだ。



 「さ…行こうか…」

ルーカスが門の鍵を開き、私達は広大な敷地に足を踏み入れた。
 母家は見えているのになかなか辿りつかない。



 「ステファン、ここでかくれんぼしたらみつけてもらえそうにないな。」

リュックの冗談に、ステファンは眠そうな顔を向けただけだった。
 雑談を交わしながら、散歩程度に歩くと、やっと母家に辿りついた。



 「さぁ、入ってくれ。」

ルーカスが玄関の大きな扉の鍵を開けてくれた。



 「こいつはすげぇ…!」

 私達は一斉に上を見上げた。
 玄関ホールは吹き抜けになった開放感のある空間になっており、丸い天井には天井絵までが描かれている。
ふくよかな天使達が、気持ち良さそうに空を舞い踊る光景だ。
 大きな窓からは明るい日差しがさんさんと差しこみ、この窓を開け放したら、気持ちの良い風が吹き込んで来ることだろう。

 長年住む人もいなかったというのに、まるでここには今でも人が住んでいるような気配を感じた。
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