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003 : 障害と剣
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「なにが人柄じゃ!
結婚もせんうちから子供を作るような、そんなけじめのない奴のどこが良いというんじゃ!」
「それは…私が悪いの…
なかなか父さんに言い出せなかったから…
きっと父さんは私達のことを許してくれないと思ったから、二人のことは誰にも言わないでいようって言ったのは私なの…
でも、ターナーさんとの試合を見て私は自分の言い出したことでどれだけ彼を危険な目にあわせているかってことに気付いたわ。
元々、彼は闘いなんて好きじゃないのに、私がつまらないことを言ったからこんなことになって…
それでもし彼になにかあったら…そう思うと、私、とても恐ろしくなって…」
マノンは、頬に流れる涙をそっと拭った。
「あなた、最近ずっと元気がないと思ったら、そのことで悩んでいたのね。」
「ええ…
父さん、お願いします!
どうかもうリカールを試合に出すのはやめて下さい。
彼は…私にとってかけがえのない人なの…
私だけじゃないわ…子供にとってもかけがえのない人なんです。」
ルイスは、マノンのその言葉を聞くと、何も言わず立ちあがり乱暴にドアを閉めて部屋を出て行った。
「マノン、大丈夫か?
倒れたって聞いたけど…」
「ええ…たいしたことないわ…」
「だけど、本当に驚いたわぁ…
あなた、妊娠してることに全然気付いてなかったの?」
「え…ええ…
経験がないからちっともわからなくて…」
「困ったお母さんね。
これからはもっと身体のことを大切にしなくちゃね。
でも、リカールさんの子供だったらきっとすごく可愛いわね!楽しみだわぁ…
男の子かしら、それとも女の子かしら?
あら、でも、子供が生まれたら私はもうおばあちゃんになるのね。」
こんな状況だというのに、テレーズは子供のことで呑気に浮かれていた。
マノンとリカールはそんなテレーズの姿に気まずい顔をしている。
嘘を吐いている罪悪感に苛まされているのだろう。
しかし、この作戦はうまくいきそうに思えた。
ルイスの反応は予想通りだったが、テレーズがこれほど好意的な反応を見せるとは思ってもみなかった。
テレーズがマノン達の味方となれば、作戦はさらに成功に近付いたようなものだ。
結婚もせんうちから子供を作るような、そんなけじめのない奴のどこが良いというんじゃ!」
「それは…私が悪いの…
なかなか父さんに言い出せなかったから…
きっと父さんは私達のことを許してくれないと思ったから、二人のことは誰にも言わないでいようって言ったのは私なの…
でも、ターナーさんとの試合を見て私は自分の言い出したことでどれだけ彼を危険な目にあわせているかってことに気付いたわ。
元々、彼は闘いなんて好きじゃないのに、私がつまらないことを言ったからこんなことになって…
それでもし彼になにかあったら…そう思うと、私、とても恐ろしくなって…」
マノンは、頬に流れる涙をそっと拭った。
「あなた、最近ずっと元気がないと思ったら、そのことで悩んでいたのね。」
「ええ…
父さん、お願いします!
どうかもうリカールを試合に出すのはやめて下さい。
彼は…私にとってかけがえのない人なの…
私だけじゃないわ…子供にとってもかけがえのない人なんです。」
ルイスは、マノンのその言葉を聞くと、何も言わず立ちあがり乱暴にドアを閉めて部屋を出て行った。
「マノン、大丈夫か?
倒れたって聞いたけど…」
「ええ…たいしたことないわ…」
「だけど、本当に驚いたわぁ…
あなた、妊娠してることに全然気付いてなかったの?」
「え…ええ…
経験がないからちっともわからなくて…」
「困ったお母さんね。
これからはもっと身体のことを大切にしなくちゃね。
でも、リカールさんの子供だったらきっとすごく可愛いわね!楽しみだわぁ…
男の子かしら、それとも女の子かしら?
あら、でも、子供が生まれたら私はもうおばあちゃんになるのね。」
こんな状況だというのに、テレーズは子供のことで呑気に浮かれていた。
マノンとリカールはそんなテレーズの姿に気まずい顔をしている。
嘘を吐いている罪悪感に苛まされているのだろう。
しかし、この作戦はうまくいきそうに思えた。
ルイスの反応は予想通りだったが、テレーズがこれほど好意的な反応を見せるとは思ってもみなかった。
テレーズがマノン達の味方となれば、作戦はさらに成功に近付いたようなものだ。
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