53 / 389
003 : 障害と剣
42
しおりを挟む
ルイスの伝手によって、ニッキーの家はすぐにみつかった。
同じ町の中なので、闘技場にもルイスの屋敷にも当然近い。
家賃も格安にしてもらったようだ。
次の週は、予想外に慌しく過ぎて行った。
月曜と火曜に行われた演劇は、裏側を見せるわけにはいかないだけにいつもより客席が減らされた。
人気のある一座だったために会場は混雑し、舞台を何度か組替えなければいけなかったので休む暇がなかった。
水曜日には格闘技の予選会、木曜には準々決勝が行われた。
先週は、会場の柿落としと重なり、リカールの試合と同じ日に格闘の予選、準々決勝が行われたが、今週からは水曜と木曜に行われることになったのだ。
今までこういう日は、出場者の身内や友人達が応援に訪れるだけだったらしいが、今回からは実験的に安い料金で客を入れることになった。
予選だけに観客はそう多くはなかったが、料金が安いということでそれなりの集客があった。
ルイスやハンクはその反応に上機嫌だった。
この日には、リュックは司会は休み、マノンの店に手伝いに行っていた。
相変わらず、マノンは店でも気の晴れない顔をしているようだ。
次の週もまたあわただしく過ぎて行った。
ニッキーは、すでに二回目の防衛線を勝ち越し、最近ではリカールに迫る勢いでファンが増えていた。
そして、また新たな週が明けた月曜日の夕食のことだった。
「ニッキー、昨日も良い試合だったな!
最近、ファンも増えてきてるみたいじゃないか。
昨日の差し入れはすごかったな。」
「あぁ、リュックに差し入れは酒が良いそうだって言ってもらったおかげで、飲みきれないほどもらったよ。
しかし、闘うだけでこんな良い暮らしが出来るなんて、田舎にいた頃には考えられなかったぜ。」
「ニッキー、あんまり無茶をするなよ。
おまえのことでは少し悪い噂も流れ始めてるぞ。」
「悪い噂?
もしかして女の事か?
仕方ないじゃないか、女の方が寄って来るんだからな。」
「そりゃあおまえはまだ若いし、モテるのもわかっちゃいるが…
少しは考えてくれないとな。
人気なんてもんは、ちょっとしたことですぐに落ちるんだからな。」
「はいはい、わかりましたよ。」
ニッキーは、ルイスの忠告もどこ吹く風といった感じで、気に留めているようには思えなかった。
同じ町の中なので、闘技場にもルイスの屋敷にも当然近い。
家賃も格安にしてもらったようだ。
次の週は、予想外に慌しく過ぎて行った。
月曜と火曜に行われた演劇は、裏側を見せるわけにはいかないだけにいつもより客席が減らされた。
人気のある一座だったために会場は混雑し、舞台を何度か組替えなければいけなかったので休む暇がなかった。
水曜日には格闘技の予選会、木曜には準々決勝が行われた。
先週は、会場の柿落としと重なり、リカールの試合と同じ日に格闘の予選、準々決勝が行われたが、今週からは水曜と木曜に行われることになったのだ。
今までこういう日は、出場者の身内や友人達が応援に訪れるだけだったらしいが、今回からは実験的に安い料金で客を入れることになった。
予選だけに観客はそう多くはなかったが、料金が安いということでそれなりの集客があった。
ルイスやハンクはその反応に上機嫌だった。
この日には、リュックは司会は休み、マノンの店に手伝いに行っていた。
相変わらず、マノンは店でも気の晴れない顔をしているようだ。
次の週もまたあわただしく過ぎて行った。
ニッキーは、すでに二回目の防衛線を勝ち越し、最近ではリカールに迫る勢いでファンが増えていた。
そして、また新たな週が明けた月曜日の夕食のことだった。
「ニッキー、昨日も良い試合だったな!
最近、ファンも増えてきてるみたいじゃないか。
昨日の差し入れはすごかったな。」
「あぁ、リュックに差し入れは酒が良いそうだって言ってもらったおかげで、飲みきれないほどもらったよ。
しかし、闘うだけでこんな良い暮らしが出来るなんて、田舎にいた頃には考えられなかったぜ。」
「ニッキー、あんまり無茶をするなよ。
おまえのことでは少し悪い噂も流れ始めてるぞ。」
「悪い噂?
もしかして女の事か?
仕方ないじゃないか、女の方が寄って来るんだからな。」
「そりゃあおまえはまだ若いし、モテるのもわかっちゃいるが…
少しは考えてくれないとな。
人気なんてもんは、ちょっとしたことですぐに落ちるんだからな。」
「はいはい、わかりましたよ。」
ニッキーは、ルイスの忠告もどこ吹く風といった感じで、気に留めているようには思えなかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
元虐げられた公爵令嬢は好きに生きている。
しずもり
恋愛
アメリアを疎む父と後妻の母娘によって虐げられてきた前世の記憶を持つ彼女が、望まぬ結婚を押し付けられた事をきっかけに家を出た事で始まる前作『虐げられた公爵令嬢は好きに生きたい〜え?乙女ゲーム?そんなの知りません。〜』の小話的な続編作品になります。
乙女ゲーム要素ほんのり程度、シリアスな話も無し(今のところは)のアメリアを中心とした日常での出来事など、本編で書かれていないアメリアの日常や王子妃教育の話、アネット等の他キャラ視点の話を基本は一話完結の形で不定期に投稿する予定です。
*なんちゃって異世界の独自設定で書いています。
*言葉遣いなど時代設定を無視して現代風になっている部分が多くあります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。
こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。
完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。
この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。
ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。
彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。
※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる