お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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003 : 障害と剣

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ルイスの伝手によって、ニッキーの家はすぐにみつかった。
 同じ町の中なので、闘技場にもルイスの屋敷にも当然近い。
 家賃も格安にしてもらったようだ。

 次の週は、予想外に慌しく過ぎて行った。
 月曜と火曜に行われた演劇は、裏側を見せるわけにはいかないだけにいつもより客席が減らされた。
 人気のある一座だったために会場は混雑し、舞台を何度か組替えなければいけなかったので休む暇がなかった。
 水曜日には格闘技の予選会、木曜には準々決勝が行われた。
 先週は、会場の柿落としと重なり、リカールの試合と同じ日に格闘の予選、準々決勝が行われたが、今週からは水曜と木曜に行われることになったのだ。
 今までこういう日は、出場者の身内や友人達が応援に訪れるだけだったらしいが、今回からは実験的に安い料金で客を入れることになった。
 予選だけに観客はそう多くはなかったが、料金が安いということでそれなりの集客があった。
ルイスやハンクはその反応に上機嫌だった。
この日には、リュックは司会は休み、マノンの店に手伝いに行っていた。
 相変わらず、マノンは店でも気の晴れない顔をしているようだ。

 次の週もまたあわただしく過ぎて行った。
ニッキーは、すでに二回目の防衛線を勝ち越し、最近ではリカールに迫る勢いでファンが増えていた。
そして、また新たな週が明けた月曜日の夕食のことだった。



 「ニッキー、昨日も良い試合だったな!
 最近、ファンも増えてきてるみたいじゃないか。
 昨日の差し入れはすごかったな。」

 「あぁ、リュックに差し入れは酒が良いそうだって言ってもらったおかげで、飲みきれないほどもらったよ。
しかし、闘うだけでこんな良い暮らしが出来るなんて、田舎にいた頃には考えられなかったぜ。」

 「ニッキー、あんまり無茶をするなよ。
おまえのことでは少し悪い噂も流れ始めてるぞ。」

 「悪い噂?
もしかして女の事か?
 仕方ないじゃないか、女の方が寄って来るんだからな。」

 「そりゃあおまえはまだ若いし、モテるのもわかっちゃいるが…
少しは考えてくれないとな。
 人気なんてもんは、ちょっとしたことですぐに落ちるんだからな。」

 「はいはい、わかりましたよ。」

ニッキーは、ルイスの忠告もどこ吹く風といった感じで、気に留めているようには思えなかった。
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