お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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003 : 障害と剣

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リカールの表情が堅いものに変わった。
やがて、彼はおもむろに立ち上がり小さな声で呟いた。



 「マノン…おいとましよう…」

 「でも…リカール…」

マノンは、私達とリカールの両方に気を遣い、どうしたものかと戸惑っているようだった。
そんな中、リュックはつかつかとリカールの前に進み出ると、彼の両腕を持ってそのまま椅子に座らせた。



 「まぁ、そう言うなよ。」

 椅子には座ったが、リカールの表情は相変わらず堅いままだった。



 「…あんたの気持ちはわかるさ。
ほとんど話したこともないような者にこれ以上プライベートな話をしたくないんだろ?
どうせ、こいつらは興味本意で聞いてるだけだ。
あぁ、こんな奴に話すんじゃなかった…そう思ってんだろ?」

リカールは、リュックのその言葉に何も答えなかった。



 「あんたが俺達のことを信じられないのは仕方のないことだ。
 信じたくなけりゃ信じなくて良い。
でも、俺達はおせっかいな性分なんだ。
 知った以上、知らんふりはしてられない。」

 「なぜだ?
 私達がどうなろうと、あなた達には何も関係のないことではないか。」

いつものリカールとは違い、その声は明らかに苛立っていた。



 「俺達も元々はまるで知らない者同士だった…」

リュックが遠くをみつめるような目をして呟いた。



 「ひょんなことから俺はマルタンと知り合って…
それから、俺の人生は大きく変わった。
 俺は初対面だったマルタンに助けられた。
 知ってるとか知らないとか、そんなことはたいした問題じゃないと思うんだ。
 自分に何か出来る事があれば、それをする…それだけだ。」

 「……そんな人間がいるものか…」

 「じゃあ、リカール。
もしも、川で流されて溺れかけてる子供がいたら、あんたはそのまま知らん顔をするのか?
 自分と関わりのない人間だったら…自分の知らない人間だったら、それはあんたには関係のないことなのか?」

 「それと私達の問題とでは話が全然違う!」

リカールの声はさらに苛立ちを増していた。 
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