お題小説２

003 ： 障害と剣

１９

結局、その日は働いた実感もない程楽な仕事で、屋敷に戻ったのも早かった。
そしてまた次の日も前日と同じようなペースで進み、この二日間のおかげで日曜の疲れはやっと回復することが出来た。



 「今日も楽だったなぁ…
こんなに楽だと却って気が抜けちまうな！」

 「ずっと忙しかったら身が持たないからこんな日もあって良いじゃないか。
そういえば、リュックは、明日とあさってはマノンさんのレストランに行くんだな？」

 「そうなんだ。
っていっても、俺は人に出すような料理は作れないから、皿洗いや料理を運ぶくらいのもんだけどな。」

 「良いじゃないか。
 昼間はマノンさんのうまいまかないが食べられるんじゃないか？」

 「そういや、そうだな！
そいつは楽しみだ。」

リュックと私が屋敷に戻ると、クロワ達が出迎えてくれた。
 四人揃った所で、私達はいつものように母家へ向かった。



 「どうじゃ？
マルタンもリュックも仕事には慣れたか？」

 「そうだな、皆もよくしてくれるし、俺は元々話すことが好きだからな。
 楽しく働かせてもらってるぜ。」

 「私もですよ。
 私はまだ覚えなくてはならないこともたくさんありますが、ジャックさん達にいろいろ教えてもらいながら、楽しく働かせていただいてます。」

 「ジャックがあんたのことを真面目でよく働くと誉めてたよ。
 闘技場で働くような雰囲気には見えんからどうかと思ってたんじゃが、助かってるよ。」

 「爺さん、よくわかるな。
マルタンは元は修道院にいた司祭様だからな。
 本当はこういう仕事をするタイプじゃないんだよな。」

 「司祭…そうじゃったんか…それで…
しかし、なんで…」

 「昔のことです。
 私は事情があって修道院を離れた身ですから…」

 「……そうか。
ま、人にはいろんな事情があるからのぅ。
 昔のことにこだわることはないわな。」

 「ま、そういうことだな。
 今の自分がしたいと思う事を、または出来る事をやれば良いんだよな！
あ、そうだ、マノンさん、明日のことなんだけど…」

リュックは、明日からの仕事の段取りをマノンに尋ね、そして、私達は離れに戻った。